2011年2月18日金曜日

ぴったりの辞書



ドイツ語は読めないけど、分かるといいなと思うことが多く、ちょっとした調べものに適当な辞書を探していた。だけど本屋にあるのは奇妙な色合いのビニール装の辞書ばかり。内容がどんなに優れていても、それが外見に反映されていなければがっかりだ。とくにビニール装は、いつまでも手に馴染まないので嫌い。

そして最近、図書館のリサイクルコーナーで、とてもシックな辞書を見つけた。それが岩波の「独和辞典」。大きさは文庫本より少し大きく、装丁はモスグリーンのクロス装。厚みといい、重さといい、ちょっと持っただけで内容の充実が伝わってくる。初版は半世紀ほど前の古い辞書だが、単語を引くだけなので実用性は大丈夫。語彙の成り立ちなどが丁寧に説明されていて、むしろ読み物として優れてると言えるだろう。

今は電子辞書が主流と言われる時代だ。だとしたら、従来的な辞書の価値には、情報の豊富さだけでなく、それ以上に感覚的な「辞書を持つ喜び」が重視されるべきだと思う。ある種の玩具や楽器のように、傍にあるだけで心が満たされるような、そういう美しい辞書があるといい。

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