2011年3月19日土曜日

空念仏


全国的に「自粛ゲーム」が流行っているらしい。被災者の心情を察してのことだろうが、実際には逆効果。こういう時こそ、経済の活力を最大限に利用して、一日も早い復興を後押しすべきだ。そもそも一見正しそうなことであっても、全員が一斉に同じことをすると、必ず悪影響が出る。今求められているのは、可能な限りこれまでと同じように暮らすことと、自分の役割を忠実に果たすこと。これに尽きる。

それともう一つ。運良く災害から免れた人たちの役割は、悲しんだり同情したりすることではなく、その災害を決して忘れないこと。そして、そこから得られた貴重な教訓を、確実に日常生活に生かすこと。毎年、防災の日にちなんで行われる意識調査の結果を見ていると、あまりの意識の低さに愕然とする。これまでの数え切れない尊い犠牲は、いったい何のために払われたのか分かっているか。地道な備蓄をあざけるような人たちに限って、無思慮な「自粛ゲーム」や「買いだめゲーム」にはしゃいでいるのではないだろうか。

春が到来している。今朝、鳥の賑やかなさえずりで目が覚めた。見ると、若葉を出し始めたケヤキに、たくさんの野鳥が枝にとまり、夢中になって芽を啄んでいた。何という食欲だろう・・・。生きものたちの役割は、空念仏を唱えることではなく、日々を充実させること。無心に生きる鳥たちを見て、強くそう思う。

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