2011年6月12日日曜日

自然エネルギー

自然エネルギーの可能性と限界」を読んだ。風力発電、太陽光発電に代表される自然エネルギーの特徴をコンパクトに解説している。短時間で、要点を仕入れるのに格好の本である。原発を廃止して、自然エネルギーを活用する議論の前提として、最低限ここに書かれている程度の知識は必要だ。

ちょっと考えると分かることだが、日本は湿潤温暖、緑豊かな土地柄で、それは逆に言えば、太陽が年中照りつけるわけでなく、年中強風が吹いている場所ではないということ。従って日本では、お天気任せの風力発電や太陽光発電を発電の主力に据えるのはどだい無理。たくさん作って並べれば何とかなるという意見だってあるだろうが、費用対効果の問題が解決できない。風力も太陽光も、エコ発電のシンボルとか個人消費用の発電と割り切った方がいい。

現実的な可能性としては、水力発電、地熱発電だろう。どちらも日本の風土に適している。特に水力発電は、小さな装置でも安定的に電力を供給できるので実用的だ。地熱発電も、真剣に取り組めば、将来の可能性は大である。しかしいずれの方法を選択するとしても、原子力発電と置き換えるには長い時間がかかる。

従って原発を拒否しつつ、電力の恩恵を受けるには、今のところ電力消費量を減らすしかない。品質のいい電力を大量に食うハイテク産業は外国に委ねる。二酸化炭素を排出する火力発電を維持する代わりに、車社会を終わらせる。都市においては、エネルギー効率の悪い戸建て住宅から集合住宅への住み替えが必要。当然のことだが国際競争力は今より更に低下し、雇用は減少、経済は確実に縮小するので、それに見合った質素な暮らし方をしなくてはならない。

ちょっと意地の悪い言い方をしたが、そのくらいの前提でいないと、原発廃止は実現できないだろう。今は気持ちに弾みがついてるが、これから何年もかけて、しみったれた暮らしをしながら、成し遂げるべき国民的な課題なのである。エアコンに大画面テレビ、大型冷蔵庫、食洗機に乾燥機、ぜんぶ持っては未来に行けない。だが、それでも快適な暮らしを実現することは可能だと信じている。

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