2011年9月20日火曜日

昭和60年に戻ろう

原発廃止デモが、各地で行われている。近い将来、大規模な地震発生が危惧される現状では、原発の運転は中止すべきだし、将来的にはそれが国民の利益になるだろう。だからデモの主張自体には共感する点が多い。ただ、原発を廃止すれば、短期的には基幹産業の縮小や、ひいては生活水準の低下をもたらすことは確実だ。従って原発廃止を主張するからには、同時に社会の混乱を最小限にとどめるアイデアなり長期的なエネルギー政策のグランドデザインが提示されなくては無責任だと思う。

太陽光発電で原発分を補うという大風呂敷は無視するとして、それ以外の手段で二酸化炭素の排出を抑えながらコストに見合う発電を行うのは至難である。仮に可能であっても、それだけではおよそ現在の需要を満たすことは出来ないだろうし、何より時間がかかりすぎる。とすれば残された方法は唯ひとつ、電力需要の徹底的な削減しか途はない。納税の義務を果たさなければ国家が成り立たないように、節電しなければ社会生活を維持できない。そう考えれば、憲法にある国民の義務に、更に加えて節電節約の義務を加えても悪くはないだろうと・・・、むろん悪い冗談である。

問題は、どの程度電力消費を削減するかであるが、多くの人たちにとって受け容れ可能な水準として、一応文化的な生活の維持が目安になるだろう。我が身を振り返ると、洗濯機と冷蔵庫があれば日常生活に十分だったし、これにクーラーが加わるとまずまず快適な暮らしだった。その他の文明の利器は、まあ付け足しのようなものである。わが家では昭和60年頃の暮らしがちょうどそうだった。

それで4半世紀前のわが家の家計簿を調べると9月の光熱費は8747円(ちなみに新聞購読料は2600円、タバコが220円だった)。電気とガスを合わせた金額で、実際の使用量の内訳は不明である。ただその頃は深夜電力で電気給湯器を使っていたので、電気使用量は他所より多かったかもしれない。しかしその反面、ガスコンロしか使わないので、結果トータルでは二人所帯としては平均的かも。主に使っていた家電は小型冷蔵庫と洗濯機、エアコン、掃除機、炊飯器、オーブントースター、ポータブルテレビくらいだった。まるで中国の一般家庭並みだが、暮らしていて不満は全然なかった。統計によると、当時の家庭の平均電力消費量は、現在の約半分だということである。とすれば、社会的な節電目標にするのにちょうどいい時代ではないだろうか。

さて、4半世紀後の今月の状況だが、あれから新たに加わったのがパソコン、電子レンジと温水トイレ。消えたのが電気給湯器。そして今月の電気使用量は193Kwh、4344円。ガスが2065円で、両方併せて6409円。あの当時より光熱費が少ないのは節電努力もあるだろうが、それ以上に家電の省エネ化が進んだのが大きいのではないか。そんなわけで、これからも省エネに真剣に取り組めば、電力使用量を半減させ、原発を全廃するのも決して夢ではないと愚考する。

そしてこのエントリーを仕上げる過程で知ったのが、「1985年のエネルギー消費生活に進もう!」という運動。たまたま同じ考えの人たちを知ったことで、自分の考えが全くの空理空論でないと勇気づけられた。必要なエネルギーを、本当に必要な分だけ無駄なく使うように意識すれば、わざわざ動員をかけて原発反対の幟を振り回さなくても、原発は自然に不要となるだろう。

2 件のコメント:

  1. ギャンブラー20.9.11

    私の今月の電気代は、194kwh(33日間)で4,588円でした。これでも前年より27%減少したのですが、atoさんの場合はご夫婦ですからねぇ。すごいです。私の場合は、テレビを液晶にしたのが大きいですね。おそらく消費電力はブラウン管テレビの3分の1くらいではないでしょうか。来年は壊れかけているエアコンを省エネタイプに替える予定です。
    ちなみにガス代は2,363円(33日間)で、こちらもato家よりオーバー。ほとんどは風呂用ですが、これ以上減らす方法がわかりません。

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  2. ギャンブラーさん、どうもです。
    やっと暑い夏も終わったようで、本当にお疲れ様でした。
    特にギャンブラーさん、病後の体調管理が大変ではなかったでしょうか。
    寝苦しい夜とも、しばらくお別れと思うとホッとしますね。
    今年は、日本の国はつくづく熱帯なんだと納得した年でした(笑。

    追記:ガス代は、うちは夏はシャワーなので(風呂に入ると汗が引かないので)、特に少ないのではと思います。

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