「舟を編む」という国語辞典を題材にしたテレビドラマを、毎回大笑いしながら観ている。
その中で「辞書は世界の入口」という台詞があって、不意に小学生のころ父愛用の広辞苑を内緒で読んでいたのを思い出した。
百科事典もあって子供にはそちらのほうが楽しい要素が多かったのだが、父が書き物をする際には必ず広辞苑が手許にあったので、何となく大人の世界に憧れていたのかもしれない。
いま家にある広辞苑は父の形見だが、これは亡くなる数年前のもので、それまでに何度も買い替えて残った最後の辞書だった。
僕は広辞苑を実用として使っていないが、時折ページをめくって父の残したサイドラインを見つけて、いったいどういう訳でここにラインを引いたのかと想像している。
つい最近も発見したサイドライン付きの項目、、、、「パスタ」。
80歳を超えると、そんなありふれた日常語も新鮮に思えるのだろうか。
そういえば晩年、普段口数の少ない父が酔っ払って「イタリアに行きたいなあ」と言ってたのを妙に覚えている。
イタリアを旅行して、本場のパスタを食してみたいと。
もしや広辞苑の「パスタ」はその伝言だったのかしら。
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