2008年4月4日金曜日

「たんぽぽ娘」

子供の頃はサイエンス・フィクションが好きで、とりわけ海外の短編ものがお気に入りだった。どうして短編かというと、退屈な授業の時間つぶしにちょうど良かったり、またそれ以上に、短い枚数でどれほど読み手に感銘を与えるかという芸風が気に入っていたのだ。そして、まあ当たり前なのだが、旺盛な読書欲に対して小遣いは僅少なので、そのほとんどを学校の図書室から借り出して読んでいた。お陰で図書室から一番本を借りた生徒として名前を載せられるという不名誉を受けることにもなった。授業中に見つかって叱られるということがなかった代わりに、最も恥ずかしいしっぺ返しを受けてしまったわけである。

そのころに読んだ小説で、ちょっと忘れられないのが、ロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」。何しろ図体の割にうぶだったので、男女のいろいろなことを、まあとてもロマンチックに考える癖があって、「たんぽぽ娘」はタイムトラベルが隠し味になった恋愛小説としてとても印象に残っている。ある時、古本屋でその本の在庫を訊ねたら、「少女向きの文庫ですけど・・・」、と店主に変な目で見られてしまった。そりゃもう外見は擦れ枯らしの中年男だけど、あたりまえに思春期があったわけで、その辺の郷愁というものも人並みにあるのだが。

そこでウェブに転がっていないかと調べたら、嬉しいことにオリジナルが見つかったのである。
http://www.scifi.com/scifiction/classics/classics_archive/young2/young21.html

たどたどしく読んでみるが、子供の頃に読んだのとまったく同じ印象。冒頭の出会いの場面もロマンチックだけど、ラストシーンも悪くない。「一昨日はシカ、きのうはウサギ、そして今日はあなたに出会えたわ。」だなんて、いっぺん言われてみたいものだ。甘っちょろいかもしれないが、こういうストーリーが相変わらずの好みなのだと再確認したのである。

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