ブツ

護国寺に用事があって、久しぶりになじみの和菓子屋の前を通ると、珍しく行列ができていない。こんなことは滅多にないので、慌てて飛び込んで手持ちの現金で買えるだけ注文した。例のブツは、何時の間にやら147円になっていて、手に入れたのはわずか2ダース少々。わたしの周囲にも大ファンが大勢いて、お裾分けの際に喧嘩にならないよう数を調達するのが大変なのだ。

最初にこの店を知った頃は、周辺はまだ高層ビルが建ち並んではおらず、古い民家や雰囲気のある喫茶店が並んでのどかな場所だった。店も木造平屋建てで、ブツの値段は60円とか70円程度。いつも店の外まで、行列ができているのを不思議に思って、試しに買い求めたのが切っ掛けだった。そして、味はむろんだが、家族一丸となって見事なチームワークで仕事をこなしているのに、強い感銘を受けたものだ。

それから年月が経ち、町並みは激変して息苦しくなり、用事がなければ行くことのない街になってしまった。それでもこの街に魅力があるとすれば、ずっとやり方を変えることなく、誠実な商いを守っているこの店の存在は欠かせないと思う。向かいにある大出版社など、仮に潰れたっていくらでも代わりはあるが、この店の代わりはないのだから貴重なのだ。

きょう、店頭に立っていたのは、初めて見る女性だった。もしかすると若女将だろうか、相変わらず注文毎に、ブツの仕切り紙をはさみで切っているのが愉快だった。どうして前もって切って置かないのか、初めてこの店で買い物した時からの疑問である。2番目の写真は、最初に食べて感激した、出来立ての豆餅。大福が人気商品だと気づいたのは、その後のことだった。

コメント

  1. え?!そこまで安かったんですね。
    私も昨年末からこちらのお店のファンです。
    たまたま並んでいない日も有るようでそういう日は絶対に買ってきますよ。

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  2. いくらさん、こんばんは。

    あれっ、ばれちゃいましたか(笑。
    安いといっても、なにしろすごく以前のことなので。
    でもあの当時から、ほかの有名店と比べても安かったように思います。
    物価高の今では、かえってこの値段で大丈夫なのかなあと心配になりますよ。
    それにしても、ここの豆大福はおいしいですよね。

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