2009年4月25日土曜日

「物語 フランス革命」

歴史には、自分ではさほど苦手意識はないつもりだが、ちゃんと理解しているかというと甚だ心許ない。年号や固有名詞は知っていても、その有機的な繋がりとなるとさっぱりである。だからといって生活に不便することはないけど、知っていれば何かと楽しいことも多いのではと。この際、古い記憶が消えてしまう前に、歴史の知識を再インストールしようと思った。

手始めに世界史上の最重要事項からと言うことで、取っ付きやすそうなフランス革命を選ぶ。教科書的な説明ではもはや頭に入らないので、物語風のコンパクトなテキストを探したところ、書評で「物語 フランス革命」という新書が推薦されていた。ルイ16世の改革から始まって、ナポレオンの登場に至るまでの約10年間の革命史を簡潔に解説したものである。

読んでみると、これが思いのほか出来がいい。著者は限られた分量ながら、市民革命の登場人物たちを、生き生きと描写することに成功している。それは単なる史実でなく、革命に翻弄される生身の人間の振る舞いであり、読み進みながら、この混乱の中で自分ならば如何にして家族を守るだろうかを想像した。「お勉強」を超えた、歴史上の想像の世界に遊ぶ。それがまさに、歴史を学ぶ醍醐味であろう。

巻末には、本書に取り上げられた歴史が、簡単な年表としてまとめられている。1774年、ルイ16世が20歳で即位して、89年にバスティーユ襲撃が起き、92年に処刑され、そして1804年、ナポレオンが35歳で皇帝に即位する。その30年間に様々な人たちが登場し、文字通り命がけで生きて、そして歴史の舞台から去っていった。フランス革命とは、幾度でも鑑賞したい、まさに壮大な人間ドラマである。

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