2009年5月25日月曜日

週末の散歩

商品券を頂戴したのはいいが、近所ではあまり使い道がなく、しかも商品券の使える書店は遠くの街にあった。このところ実際に書店を覗く機会が少ないので、運動不足の解消を兼ねて、目的の街まで歩いて行くことにした。日差しが強いため帽子とサングラスを身に着け、小さな布の手提げにタオルと財布を入れて家を出た。

遊歩道を伝っていけば大丈夫だろうと思っていたが、外は想像していたよりずっと暑く、歩きだしてすぐに汗をかき始めた。半袖にしておけばよかったと後悔しつつ、袖をまくり上げ、タオルでしきりに顔を拭いながら歩く姿は、映画に出てくる聞き込み中の刑事みたいだ。もっとも彼らが手にするのは黒革の手帳であり、間違ってもプリント柄の手提げ袋ではないが。

少し以前に改修された遊歩道には、新たにせせらぎが作られ、そこには水辺の植栽が育ち、浅い流れの中で鯉が窮屈そうに泳いでいた。人工的なものとはいえ、こんな暑い日には、緑の木陰と水音が何よりの慰めである。しかし、そもそも用水路だった所を遊歩道にして、その上に更に人工のせせらぎを作り、それって一体何なんだろうと首をかしげる。確かに、用水路じゃ見栄えは悪く、お上品な住宅地には似合わないのだけど、何もしなくても同じだったのじゃないだろうか。

小1時間かけて目的の書店にたどり着いた。店内はほどよい冷房が入り、シャツの下に籠った熱気が、みるみる抜けていくのが感じられる。ここは全国にチェーン店を持つ大書店だが、ちゃんと街の雰囲気を反映した品揃えになっているのがうれしい。たとえば、そうとう目立つ場所にArneのバックナンバーが並んでいたり、幸田文の紹介コーナーがあったりして、客層をかなり絞っている様子。出版不況が深刻化する中で、小売りもいろいろと知恵を絞っているのがよくわかる。そして私も、楽しい陳列につい釣られて、朝ごはんの本を手に取ってしまった。

書店から見える駅前市場の屋根。昔は食料品店が軒を連ね、雨が降る日は、いかにもアジア的なさまざまな臭いが通路を満たしたものだった。

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