
遊歩道を伝っていけば大丈夫だろうと思っていたが、外は想像していたよりずっと暑く、歩きだしてすぐに汗をかき始めた。半袖にしておけばよかったと後悔しつつ、袖をまくり上げ、タオルでしきりに顔を拭いながら歩く姿は、映画に出てくる聞き込み中の刑事みたいだ。もっとも彼らが手にするのは黒革の手帳であり、間違ってもプリント柄の手提げ袋ではないが。
少し以前に改修された遊歩道には、新たにせせらぎが作られ、そこには水辺の植栽が育ち、浅い流れの中で鯉が窮屈そうに泳いでいた。人工的なものとはいえ、こんな暑い日には、緑の木陰と水音が何よりの慰めである。しかし、そもそも用水路だった所を遊歩道にして、その上に更に人工のせせらぎを作り、それって一体何なんだろうと首をかしげる。確かに、用水路じゃ見栄えは悪く、お上品な住宅地には似合わないのだけど、何もしなくても同じだったのじゃないだろうか。

書店から見える駅前市場の屋根。昔は食料品店が軒を連ね、雨が降る日は、いかにもアジア的なさまざまな臭いが通路を満たしたものだった。
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