2013年11月10日日曜日

ベストでなくても

ネットの詐欺紛いの商法や食品偽装が社会問題になってます。
ああ、やっぱりそうなんだ、というのが率直な印象。
驚きは全然ありません。

昨今の勤労者の可処分所得が増えないばかりか、むしろ減る一方の状況で、消費者が買い物に失敗できなくなったという話を聞いたことがあります。
誰しも貴重なお金を使うのですから、絶対に後悔したくない。
たまに外食するにしても、食べて損したというような経験はまっぴら。
だから皆、神経質なくらいネットで情報を集めて店を選ぶわけです。

同じお金を出すなら、より美味しく、よりたくさん食べれる店。
同じ分量なら、より美味しく、より安く。
食事で比較できなければ、よりサービスがいい店を。
そういう厳しいチェックを毎日受けながら、星の数ほどある同業者が競争するのですから、本当に大変なことです。
そして一生懸命サービスに努めても、素人の気楽な批評で評判を落とすこともあるでしょう。

かつてリーズナブルな値段で美味しい料理を提供する店があり、仲間内の口コミで評判でした。
それがテレビに出たとたんに、偶然かもしれませんが、首を傾げるほど悪くなったのです。
まだブログやツイッターもない頃でしたから、噂が広まることがなかったのでしょう。
以降もたびたびマスコミに取り上げられ、いわゆる「行列の出来る店」になりました。
仮にそれが今だったら、一瞬で情報が伝わり、強いバッシングを受けたかもしれない出来事でした。

勝手な想像ですが、大衆相手の飲食店はどこも必死に戦っているのでしょうね。
消費者が、お金を最大限効率的に使おうとすればするほど、飲食店がぎりぎりの商売を強いられる。
ストレスだって溜まるでしょうし、魔が差すことだってあるでしょう。
もし儲けられる余地があれば、そのために実害のない範囲でズルをしたとしても責めることは難しいと思います。

最近は人件費が上がり、円安と需給の影響で原材料価格が上昇し、それでも値上げが難しい。
さて、そういう中でどうやって安定的な利益を確保するのでしょうか。
私には想像がつきません。

もう少し、私たちは、大らかでいられるといい。
サービスにベストを求めず、ほどほどで満足できるといいな。
そして飲食店で働く人たちを、追い詰めないようにしたい。

私には10年以上通い続けている店が幾つかありますが、調子がいいときがあれば悪いときもあります。
しかし残念なときでもご馳走様といいます。
おいしいときは、何度でもおいしかったといいます。
彼らがこれからもずっと商売を続けられるよう、出来るだけ長く応援したい。
それが巡り巡って、他ならぬ私たちを幸せにすると信じているからです。

0 件のコメント:

コメントを投稿