「勝者の代償」

「勝者の代償」ロバート・B・ライシュを読む。
通信技術やコンピュータの発達は、消費者の選択肢を多様化させ、かつ選択の切り替えが容易な経済、すなわち「ニューエコノミー」をもたらした。わたしたちは、何時だろうとどこでだろうと、世界中の市場を相手にベストの選択をすることが可能になった。しかしその反面、企業間の競争を激化させ、労働者でもあるわたしたち自身の生活を圧迫するようになってきた。

今の時代をあらわすキーワードは「選別」である。わたしたちがベストの選択を欲するとき、商品はもちろんのこと、人間、政府やコミュニティーまでもが「選別」の対象となってしまう。有形無形のあらゆるものが金銭評価され、評価の高いものと低いものが分別され相互に切り離されていく。

初めてインターネットを使って買い物をしたのは、10年ほど前になる。アメリカにある会社からビタミンの錠剤を購入したのが最初だった。きちんと決済されるだろうかと心配するまもなく、数日後には宅急便で届いたのにはびっくりしたものだった。どきどきしながら「注文ボタン」をクリックしたとき、わたしは将来の予測が立たない、きわめて不安定な未来を選択したことに全く気付かなかった。

おそらくこの流れは止まらないだろう。世界中に今より豊かな生活をしたいと願う人たちがいる限りは、企業や個人は終わりのない競争を続けなくてはならないからだ。スキーをしていて、いきなり急斜面が現れたとする。回避しようとして腰を引くと必ず転倒する。まっすぐ谷底に向かって上体を投げ出し、思い切って斜面を滑り降りるしか助かる方法はないと思う。身も蓋もないが、それが今の状況。そして新聞で「ふるさと納税」の話題を読み、本気でこの国を捨てたくなったのである。

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