2007年8月17日金曜日
オンリー・イエスタデイ
マネーの世界に吹雪が吹き荒れている。信用収縮を止めるために、各国の中央銀行は9.11以来の大掛かりな資金供給を続けているという。政府は、実体経済はしっかりしているので大したことにはならんでしょ、とアナウンスしているが、それはちょっと信用できないのだ。すでに京という単位にまで膨張したマネーが瞬時に動くような時代には、マネーが実体経済に及ぼす影響は計り知れないはずだから。
マネーの本質は、それ自身が最大限に増殖しようとする貪欲さと、損失を恐れる恐怖にある。それはまさに人間の本性の反映なので、マネーは楽観と悲観を振り子のように揺れ動く。これまではマネーのもたらす軋みを、楽観が様々な理屈を付けて無視して来た。しかしこれからは、実体経済を無視した悲観が世界を覆うかもしれない。そしていつの時代だって、お金に縁のない庶民の生活までも容赦なく痛めつけるのが、マネーに支配される世界の掟なのである。
世界恐慌は暗黒の木曜日から始まったが、本当に大変な状況になったのはそれからずっと後だったという。つまり楽観と悲観を繰り返しながら、誰も想像しなかった最悪の状況に転落していったのだ。そしてその時の悲惨な体験は、経済の世界ではむろんのこと、映画や文学などで戒めの物語として繰り返し語られてきが、今ではそういう物語を見ることもなくなった。
・「オンリー・イエスタデイ—1920年代・アメリカ」
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
40年近く前の頃だが、日本で最初に発売されたパソコンで、戦争ゲームを楽しんでいたときがあった。パソコンゲームと言っても今のような動画を楽しむものでなく、むしろ将棋ゲームに近い戦略ゲームと言ったようなものだ。ゲームの内容は、歴史上実際にあった有名な戦争を下敷きに、プレイヤーがどうや...
-
「 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 」 山岸敏男 安心社会の原理とは、固定メンバーの相互監視によって集団規律を維持し、安全コストを最小限に抑えようとする社会原理。相互監視という機能に依存するので、リスクをとって他人を信頼する必要がない。ただし、他者を排除する必要があるので、...
0 件のコメント:
コメントを投稿