2007年10月14日日曜日

冷蔵庫のこと

世の中にホームページが認知されていった初期の頃、他所の家の冷蔵庫の内部を撮影していたサイトが面白かった。人並み以上に好奇心が強いので、わたしも他所の家の様子がとても気になるのである。巨大な冷蔵庫の中に一体何が詰め込まれているのか、想像するだけでもホラーなのだ。それでタイトルで引きつけられて読んだのが、「冷蔵庫で食品を腐らす日本人」である。

刺激的なタイトルとは異なり、内容は戦後の食文化の変遷と資源・環境問題の現状を平易で軽妙な語り口で綴った、なかなかの良書である。食の問題は個々を突きだすと複雑できりがないので、短時間におおざっぱに全体を俯瞰するにはちょうどいい量。特に日本の漁業の変遷と世界的な潮流などは、消費者として知っておいて損はないと感じた。そして「あとがき」のエピソードは、小津映画のようにしみじみと心に残った。煎じ詰めると「食」とは、感謝する心なんだなあ。

さてさて、そこで初公開、我が家の冷蔵庫である。2ドア200リッターの冷蔵庫の内部は、基本的にいつもガラガラで素っ気がない。上段の肉や魚専用棚は不必要なので、取り外して何種類かのチーズやバターなどの置き場になっている。撮影した時は、買い物から帰ってきた直後なので、いつもより込み合っている状態だが、それでも中を秋風が吹き抜ける風情がある。さすがに冷凍庫は、作り置きのソース類や食品をストックしているので、もうちょっと込み合っている。

このように素っ気ないのは、我が家では冷蔵庫を食品をストックする場所ではなく、一時的な保管場所として使っているから。食料品のストックは、基本的に近所のスーパーマーケット頼みなのである。思うに家の外には、常に新鮮な食品を供給できる巨大システムがあるのだから、必要な物を、必要な時に、必要なだけ調達できる以上、都市生活には冷蔵庫は基本的に不要なのかもしれない。

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