今年の美術館

先日の新聞記事で、東京都民が1年間に美術館を利用する頻度が1.9回であったという結果が出ていた。それが多いのか少ないのか、比較の尺度が無いのでちょっとよく分からない。ただ、都内に限って言うと、国立、都立、区立美術館の他、私設美術館も数多く存在し、工夫を凝らした特別展が1年中開催されていることを考えると、直感的にはやはり少ないのではと感じる。しかし、競合する娯楽も美術館を遥かに上回ってあることから、まあ妥当な数字だとも思える。結論的には、1.9回という数字、もったいないなあとという感想である。

わたしの場合は、年間で、少なくとも10回以上は関東周辺の美術館に足を運んでいる。これに旅先での美術館を加えて、まあ15回程度だろうか。そのうち自腹を切るのが半分程度。残り半分は、新聞販売店や懸賞、友人からの贈与である。だから、回数ほどにはお金をかけているわけでない。したがって、美術館で遊ぶというのは、ほんとうに日常的な遊びという感覚なのである。

ただ、日頃美術館に縁のない人たちにも、気軽に足を運んで欲しいという願いがある。最近の美術館は、建物自体も素晴らしいものが多く、もちろん企画展も十分楽しめる。そして、まだまだ不十分とはいえ、併設されているレストランやカフェも、それなりに水準が向上してきている。だから、休日にデートするなら、埃っぽい繁華街を歩き回るより、雰囲気のいい美術館に行くのもアリだと思う。たとえば「恋人たちの予感」というコメディー映画があるが、その中でメトロポリタン美術館を散歩するシーンがいいのである。背後にセントラルパークの紅葉が広がる大展示室を、たわいもないおしゃべりをしながら歩き回るという、何とも贅沢な遊びが描かれているのだ。

さて、年度末ということもあり、今年見た美術展で印象に残ったものを挙げておきたい。今年一番楽しんだのは、「金刀比羅宮 書院の美」。とりわけ若冲の花々の襖絵。もうすぐ本家に戻って完全公開されるので、女房を質に入れても見に行きたいところだ。収穫は、セタビの「資生堂展」。モダニスト山名文夫の存在を知ったこと。ことしの1枚は、「フィラデルフィア美術館展」のオキーフ。震えた。今年の心残りは、「ムンク展」。実は子どもの頃、初めて一人で展覧会に行ったのが「ムンク展」で、それから美術館との長い付き合いが始まったのである。もうすぐ終わるので、ぜひ行かなくては!

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