2008年2月22日金曜日

フック

妻は、台所近辺には何一つとして、ものを置かない主義である。料理をしないときは、調理器具類はすべて棚の中に仕舞われていないと気が済まないのだ。余計な飾りや、家庭的な小道具もむろん御法度である。たしかに、見た目はすっきりとして清潔感満点だが、そのような状態を維持するのは、不幸にしてわたしの役目なのである。

このところ、食後の片付けが大変なので、もうすこし便利にしてもいいじゃないかという話になり、流し台の上にフックを取り付けることにした。乾きにくい洗い物などを、一時的に風通しの良い場所に吊るすためだ。しかし、フックやレールが剥き出しだと不細工なので、それらが目立たないようにライトボックスの内側に設置することで妥協が成立した。

既製品ではサイズが合わないので、ホームセンターで適当な材料を探し、これを加工して取り付けた。そしてフックは、いつかは役立つだろうと買い置きしていた、イケアのものを使う。金属製のフックに関しては、いろいろと見た中では、イケアのが一番頼もしく見えたのである。メッキを施したものも多くあったが、だだの実用品に薄っぺらな化粧するのは野暮ったく見えた。

果たして、台所でフックを使い始めると、これが非常に具合がいい。普通の家庭では当たり前だろうが、今の今まで、洗ったものを吊るして干すという習慣がなかったので、余計に新鮮なのだ。当初は、目の前にものがぶら下がっている状態が気にはなったが、それも深夜から朝までなのですぐに馴れてしまった。そして、そのごちゃごちゃが台所らしい落ち着きを演出し、むしろ好ましくさえ感じるのだ。多少の乱雑さは、整理整頓の隠し味かもしれない。

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