早春の旅 3

旅行の楽しみは、何といっても食事、とりわけ晩飯。宿に着いて真っ先に訪ねることは、伝統的な料理を出す、旨くて安いレストランの在処である。地元住民に人気があって、できれば飲んで歩いて帰れるくらいの近所が望ましいということも付け加える。勘のいい主人ならばたいてい、気働きの良いマダムが仕切る、家庭的な雰囲気のレストランを何軒か推薦してくれる。それをあらかじめ下見しておき、相性の良さそうな店を選んで食事することにしている。

そういう店の何がいいかというと、旨いというのは当たり前として、その土地の家庭料理を味わえるということがひとつ。そして珍しい料理を、傍目を気にすることなく分け合って食べられること。そして何より、テーブル同士が近いので、客同士で会話を楽しめるというのが貴重なのだ。テーブルにつく段で嫌でも挨拶する必要があるし、それが切っ掛けとなり、メニューに迷っているとたいてい世話を焼いてくれる。そして食事が進み酒も入ると、すっかり打ち解けてカタコトの世間話を始めるという案配だ。どちらも互いに中年夫婦、生活圏は違っても、意外に共通の話題に事欠かない。

今回の旅行でもよく食べたのが、内蔵系の料理。わたしが普段、肉料理をあまり食さないせいなのか、レアのステーキなどは鬼門なのである。その点、内蔵料理はしっかりと火が通っているし、加えて酒との相性がいいので、メニューにあれば必ず注文している。ただ、部位が部位だけに、これは何の肉と尋ねると、たいていひと騒動起きるのがご愛嬌だ。まあこの際、理屈はいい。安くて旨くて暖まる、それが内蔵料理の魅力なのである。

コメント

  1. ギャンブラー16.3.08

    なんておいしそうな料理なんでしょう。特に一番上の芋(?)料理と下の内臓料理に目が釘付けになりました。atoさんよりも奥様のコメントを聞きたいものです(笑)。まさか、レシピを聞き出しておられないでしょうねぇ。もっとも、食材が異なるので、日本で同じ料理ができるとは思わないですけれども。

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  2. ギャンブラーさん、どうもです。
    上の写真は、ハチノスやセンマイなど牛の胃袋を煮込んだ料理です。濃厚にしてスパイシーな味付けで、これと酒があればどんなに悪いオヤジでも、たちまち良い子になってしまうほどうまい料理です。日本ではイタリア料理のトリッパとして知られてますので、機会があればぜひお試しください。
    真ん中のは、豚の血と脂を腸詰めにしたのをバラして、芋の上に乗せた料理です。疲れたときや鉄分が不足気味のときに効果てきめん。独特の風味があって、大好物のひとつです。
    そして下の料理は、腎臓のソテーです。肉食の国では比較的ポピュラーなメニューですが、日本ではなかなか出会えないので、脊髄反射的に注文してしまいました。やや癖が強いためか、粒胡椒のソースをたっぷりと使っていて、実に味わい深い、そして表現の難しい料理でした。

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