美術館と銀ブラ

土曜は家事に勤しんだので、日曜は街に遊びに出かける。地下鉄を乗り継いで最初の目的地は、首都高の脇にひっそりと建つ個人美術館。ちょうど今、浜口陽三、南桂子両人の作品が掛かっているので、このタイミングを逃したくなかったのだ。浜口陽三の作品はこれまでも何度か目にしていたが、南桂子の方は実物鑑賞は初めて。冷たい秋風が吹き抜けるような、寂寥感の漂う情景が特徴的である。

美術館は古い倉庫の改装だということだが、地階と地上階の合わせて2階の小さなもの。都心とはいえ裏通りの目立たない場所にあるので、日曜というのに来館者もまばらである。せっかく魅力的な作品が多いのに、なんとももったいない話だ。だけど、あぶく銭の処理に困って、取り敢えず客寄せになればいいかという風情の美術館に比べれば、よほど好感が持てるのである。こんな美術館が増えていけば、この街はもっと楽しくなる。

美術館を出て、向かいにあるセルフのうどん屋で簡単な昼食。かけうどんと竹輪の天ぷら。食後は再び地下鉄に乗って銀座へ行く。銀座へは仕事で立ち寄るばかりで、純粋に遊びの目的で行くことは稀なのである。いつも時間を気にして、慌ただしいことこのうえない。だから今日は観光客になったつもりで、地下の案内所に立ち寄って東京のガイドブックと地図をもらって「銀ブラ」をする。

中央通りは歩行者天国になっていたが、好天なのにどこか閑散とした雰囲気。通行人の話し声が、ビルの谷間によく響く。「むかしは、歩道を歩くのも大変だったのに。」と振り返る妻。人ごみがあれほど嫌だったのに、いざ空いてくると妙に寂しさを感じているようだった。銀座のホコ天、もう要らなくなったんじゃないかなあ。

銀ブラと言っても一応目的があって、画材店でクロッキー帳を探すことだった。いつもは伊東屋と決まっているのだが、今日は時間に縛られないので、少し離れた月光荘まで行く。普段は行かない街なかをジグザグと歩いてみると、見慣れた古いビルがほとんどなくなり、見知らぬビルに建て変わっている。わたしにとって、銀座は、まったく記憶喪失の街なのだ。

コメント

  1. ギャンブラー19.5.08

    ミュゼ浜口陽三は、私が休日によくぶらりと出かける街にあるではないですか。自転車で新大橋を渡って5分ぐらいでしょうか。あんなところにこんなシブい美術館があったのですね。
    銀座の月光荘は、よく行くバーから歩いて2分ぐらいのところにあるんですね。こちらも知りませんでした。向かいの信濃屋には、洋酒を買いに何度も行ったことがあるんですけどね。
    両方とも、自分の庭とまでは言わなくても馴染み深い場所にあるので、なんだかうれしくなりました。それにしても、atoさんご夫婦はゆったりとした大人の休日を過ごしていらっしゃいますね。

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  2. ギャンブラーさん
    せっかくの銀座なので、どーんと豪遊したいところですが、無闇に敷居の高い店ばかり増えて困ったもんです。性分というか、わたしにはやはり裏道を散歩するのが似合ってるかな。
    蛇の道はなんとやら(笑。信濃屋は、ローカルな食品店だった頃から世話になっていて、お気に入りの店なんです。さんざん貢ぎました。

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