2008年8月11日月曜日

テレビコマーシャル

「エコ替え」というコマーシャルを見た。白熱電球を電球型蛍光灯に取り替えるように、クルマだって省エネタイプに買い替えましょう、という内容だ。我が家でも、ほとんどの白熱電球は電球型蛍光灯に入れ替わったが、しかし、電球と同じようにクルマも買い替えるというのは、到底納得がいかないのである。

去年のこと、車齡10年になる我が家のクルマが、事故に遭遇して重いダメージを受けた。保険でカバーできるとはいえ、新車が買えるほどの修理代がかかるので、買い替えのタイミングとしては悪くはなかった。しかし、小さいくせにハイオクガソリンを大食いするクルマとはいえ、たったの10年で廃車にするのは心が痛むことだった。理屈として通る話しでも、感情的に受入れられないのだ。

いろいろ迷ったあげく出した結論は、買い替えによって大量の産業廃棄物を作り出すよりも、不完全であっても今あるモノを大切に使う方が、よほどエコではないかということだった。そして排ガスがCO2の増加に寄与しているというのなら省エネ運転を心がけ、もし代替手段があれば運転を控えて、化石燃料に頼らないクルマが出現するまで辛抱強く使い続ける決心をした。素人考えだというのは承知の上、ただ大量の資源とエネルギーを使って出来たクルマを、目先の燃費がいいからという理由だけで捨てるのは、どこか本末転倒だと感じたのである。

そして更に思うのは、広告主である世界最大の、それ相応の社会的責任を有する自動車会社らしからぬ、内容の薄っぺらなコマーシャルを流してよしとする企業体質なのだ。わたしのような素人でも、買い替えによる社会的な影響を心配するご時世である。まして自動車産業のすべてを把握する立場にある企業が、広告でそういう問題意識すら見せないとすれば、まともな消費者の信頼を得ることはあり得ないのではないだろうか。企業価値は消費者の信頼抜きには成り立たないはずであり、その信頼は企業の置かれた問題についての率直さを抜きには育たないと思うのである。

少なくとも、電球の取っ替えと同じレベルでエコを語るより、自動車会社の苦悩を語る方が遥かに好感が持てただろうし、世界のトップに躍り出た会社に相応しい貫禄をみせてもよかったのではと思う。そして、それが地球環境を語る番組のスポンサーであるなら、なおのことなのである。

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