「暴走する資本主義」

巷で評判の「暴走する資本主義」を読んだ。ライシュさんの本は、「勝者の代償」以来2冊目になる。前作を読んだ時にも感じたのだが、現代というのはバランスを欠いた、しかも高速で回転するコマのようだ。左右にひどく揺れながら、人心を荒廃させ、環境を破壊し、あらゆる人たちを世界から放り出していくコマだ。

もちろん自分には罪はないと、白々しいことを言うつもりはない。そもそもが、人々が利便を追求し、より良いものをより安くと一斉に動き出したことが、今のような経済的混乱を招いているからだ。わたしだって、Amazonで本を購入するたびに、地域の本屋を追い詰め、宅配によって環境に負荷をかけることに貢献しているに違いない。引退後に楽をしたいために、金融商品を購入することだって、企業に対する脅迫になっている。だからどうするんだよと、詰め寄られても、いいアイデアなんて浮かんでこない。

彫刻家に聞いたのだが、粘土で肉付けをする時、その部分の反対側も必ずバランスを取るようにするという。形造りのお約束である。翻って現代社会は、便利さを追求して、その反対側の肉付けを忘れてしまった。富の蓄積を追求して、その反対側に何を肉付けするかを考えなかった。失敗した作品はどう手を加えても直せないのだから、さっさと土の塊に戻したほうがいいのだが、あいにく人間社会はそうはいかない。もしも子供に、この経済的カオスについて質問されたら、わたしは一体どのように答えればよいのだろう。

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