2008年10月11日土曜日

デジタル秤

この四半世紀の暮らしは、ずっとアナログからデジタルへの移行の歴史だった。子どものころに算盤から電卓へ置き換わったのが、この変化の始まりだった。レコードはCDに代わり、今は圧縮変換されたファイルを再生して聞いている。写真もフィルムを使わなくなって久しい。世間ではテレビやビデオもデジタルに、急速に置き換わりつつあるらしい。しかしいつだって、その変化を容易には受け入れ難く、最後まで無駄な抵抗をしている。

別にデジタル技術の有用性を否定しているわけではない。問題は、その変化のスピードに付いていけないだけなのだ。アナログで十分に熟成されているものを、謂わばハツモノ技術の製品に取り換えるのが、何か軽薄な調子がして嫌だった。そして格別に困っていなければ、従来のものを工夫して使うほうが、どことなく格好いいような気分もあった。

以前から台所用の秤が調子悪く、修理をしながら騙しだまし使っていたが、最後にどうにもならなくなった。料理だけならそれほど困らないのだけど、それ以外にも計量する必要があったので、とうとうデジタル秤に買い替えた。まず、容器を除外して内容だけの重さが簡単にわかることに驚いた。そして暗算や目分量に頼らなくても、たちどころに1グラム単位の正確で計量結果が表示されるのに、ひどく感心してしまった。すっきりと問答無用なところが、小気味いいではないか。

ただ、一つだけ気に食わないのは、秤のデザインが無味乾燥な点。自分で修理を重ねても使い倒したいというようなカワイゲがない。大量生産の日用品に愛着を求めるのは、前世紀の悪しき風潮なんだということは理解できるけど、そこまでハードボイルドには暮せないわけで・・・。結局、デジタル嫌いなのかもしれない。

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