江戸の時代

先週は山口薫、今週はボストン美術館の浮世絵コレクション。寒くなると、外出が億劫になるので、今のうちにせっせと美術館通いをしている。山口薫の絵を観るのは今回が初めてだが、中期の作品の色使いが非常に印象的。今回のようにまとまった形で観れることは滅多にないので、観ておく価値は十分ある。浮世絵コレクションは文句なしの一級品ぞろいで、この機会を逃すと次はいつ出会えるかわからないものばかり。しかし、あまりに人が多くて、じっくりと堪能できないのが残念だった。それに退色防止のためと思うが、照明が暗すぎて、色の鮮やかさが期待していたほどでなかったのが惜しい。そういうことはあっても、やはり素晴らしいものは素晴らしいのであり、辛抱しながらの観覧だけど十分に楽しめた。

外国の歴史家が、もし近世に生まれ変わることがあれば、平和で豊かだった日本の江戸時代に生まれたいと述べたそうである。わたしもその意見には賛成である。世界の果ての温暖な島で、同質的な人々が肩を寄せ合って穏やかに暮らす国。もちろん郷土愛というバイアスがあるが、海外の博物館で権力闘争の遺物を見るにつけ、日本に生まれるのが一番無難だと感じるのだ。そして浮世絵に描かれた風景や人の暮らしを見ていると、人間の幸せにはこれで十分ではないかと思えるのである。えてして隣の芝生は青く見えるものだが、ひょっとするとわたしたちは、人類で最高の当たりくじを引いた民族かもしれない。そんな風に妄想する。

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