宝くじ

冬の到来を告げるような寒い朝、今年もまた宝くじの季節がやってきた。以前は宝くじなんて、と少し馬鹿にする気分だったが、この頃は一枚くらいはお付き合いしてもいいかという気持ちに変わった。人生は常に偶然に左右され、個人の努力だけではどうにもならないことがいくらでもある。ならば、こちらから積極的に偶然と戯れたって悪くないはずだ。しかし当選しようとむきになるのは間違っている。仮に本気になってすべてのくじ券を買占めても、総費用の半分しか戻らないのだから。したがって、宝くじの正しい楽しみ方は、年賀はがきのように偶然に近い形で入手し、現実に当選が決まってから何に使おうかとワクワクすべきなのだ。少しでも未来に期待した途端に、運命の女神はそっぽを向くだろう。

昨夜観た映画は「バベットの晩さん会」だった。革命を逃れて、デンマークにある寒村の牧師館に身を寄せた女料理人が、宝くじで当てたお金で貧しい村人に最高のフランス料理を振舞うというストーリー。美食によって魂を盗られることを恐れていた村人が、晩さん会の後で井戸の周りに輪になって、賛美歌を合唱するシーンが素敵である。最後に牧師館の娘が、バベットがお金を使い果たしてしまったことを知って驚くが、澄ました顔で「貧乏な芸術家はいません」と答える。しみじみとする、いい台詞だ。この映画が公開された当時、世間は空前の景気で美食ブームとなり、バベットの晩餐と同じメニューを楽しもうという企画が催され、たいそうな人気だったと記憶している。

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