ガラスの器


子どもの頃に読んだ外国の絵本で、今でもときおり思い出す本がある。それは絵だけの本で、夏の日に仲間の動物たちが忙しく働いている中で、一匹だけ何もせずに空想にふけっている。しかしそれを咎める仲間はいない。そして冬籠りの季節になると、巣穴の中では、その一匹が仲間を前にして夏の日の太陽の話をして、みんなの心を温めている。

昨夜、知り合いの個展で展示作品を購入した。付き合いで気軽に買えるようなものでなかったけれど、気に入った作品でもあり、作家の手元で埃を被らせておくには惜しいと感じたからだ。そして、冬の日に真夏の太陽を語れる人を、わずかでも応援となるようなことをしたいと思ったのである。

このガラスの器を見た瞬間に、黄色のレモンやカリンを盛った様子を想像した。実際にそうしてみると、想像したよりずっと華やかになった。

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