2009年1月21日水曜日

チャイナ・シンドローム

ジャック・レモンの主演する映画にそういうタイトルのがあった。彼は喜劇俳優としてスタートしたけど、わたしはどちらかというと、シリアスな映画のほうが印象に残っている。チャイナ・シンドロームやミッシング、それから酒とバラの日々なんかも良かったなあ。

で、チャイナ・シンドロームは原子炉の炉心融解を指すスラングであり、それは英語で通常メルト・ダウンと称される。スリーマイル島の事故では炉心融解直前まで行き、チェルノブイリの事故では実際に炉心融解が起きたといわれる。もっとも、原子炉が解けて地球の反対側まで達するということにはならなかった。しかし当時の事情をWikipediaで確認すると、改めて大変な事故であったことが確認できる。当時、TVニュースで第一報に接して、慌ててヨウ素の錠剤を薬局に探しに行ったことを、つい昨日のように思い出す。あの時は、雨の日には外出を躊躇うくらい、本当に恐ろしい体験だった。

さて、経済の世界でも時々はチャイナ・シンドロームは起きるのだけれど、それはもっぱら開発途上国の話だと信じられてきた。先進国にはさまざまなセイフティー・ネットがあり、経済が底抜けするようなことはありえないと言われていた。起きてみないとわからないものだ。つい1年前には世界経済の勝ち組といわれた、アイスランドが破綻し、アイルランドも危機的状況に直面して、そして英国もいよいよ底抜け確実な情勢になってきた。まったく信じられないことだが、大英帝国がIMF管理下に入る可能性も、真剣に憂慮されているという。もっともポンド危機というのもついこの間の出来事だったので、ああまたかよという気分でもある。

だが、もう後がない。世界経済は、本当にそのような状況に直面している。今夜はオバマ大統領の就任式だそうだが、就任早々、一般人には想像もつかないほど、解決困難な問題を処理しなくてはならない。おそらくは、アメリカ一国ががんばってもどうしようもない状況だ。あとは神様の気まぐれに希望を託するしかないだろう。暢気なわたしは今、文字通り背筋の凍るような思いで、次々発表されるニュースや経済指標を読んでいる。資本主義に生きている人間には、悲観は罪悪だけど、それでも家族を守るためには、楽観はむしろ危険な賭けになる。

ちなみに、チャイナ・シンドロームと似た言葉にチャイニーズ・レストラン・シンドローム(中華料理店症候群)というのがあるが、これは前者と違い非常に牧歌的なシンドロームである。

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