2009年4月19日日曜日

「ロング・グッドバイ」

村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」を、絶対に読まなくてはと思いながら2年が過ぎた。というのも本書がA5版でしかも分厚いというのがネックになってしまい、そもそもミステリー小説は手軽にどこででもページを繰ることができなくては読もうという気にならないのだ。ところが最近になって、ポケミスのサイズになった新装版が刊行され、ようやく本書を手に取ることができた。

今ごろ「ロング・グッドバイ」の感想を書いてもつまらない話だが、世評通り文章の流れが良く、それでいて丁寧で、時代の違いもあるとはいえ、やはり清水俊二訳よりずっと出来がいい。清水訳で腑に落ちなかった箇所も、村上訳ではすんなりと理解できたし。村上春樹が言うように、やはり翻訳物は四半世紀に一度は見直す必要があるのかもしれない。先日読み返した「クローディアの秘密」もそうだったけど、いまでは明らかに使われない言葉を、それも当時の感覚からしても造語めいた言葉を放置するのは、やはり怠慢だと思うのである。

これほど熟れた翻訳なら、ほかの村上チャンドラーも読みたいと思ってたところ、おっと出ました最新刊!「さよなら、愛しい人」。タイトルも現代風になり、清水訳の読後ずっと違和感がとれなかった「大鹿マロイ」は、すっきりとムース・マロイに改名されていた。慌てて図書館に予約を入れると、運良く2番をゲット。これで連休は退屈しないで済みそうである。

2 件のコメント:

  1. ギャンブラー19.4.09

    村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」がポケミスサイズで出たんですか。私も新訳を一度読んでみたいと思っていたので、購入決定です。
    「クローディアの秘密」にしても「トムは真夜中の庭で」にしても、さらに言えば多くの翻訳児童文学を現代風の訳でもう一度読んでみたいですね誰が訳すか、というのが大問題ですけど。

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  2. 厳密にはポケミスより少し背が低いですが、ポケミスシリーズよりずっと目に優しくて、読みやすいですよ。

    それから、「トム」もちょっと古めかしく感じた部分がありましたね。古い表現にも味わいがありますが、やはり翻訳物は最新のものがいいかなと思います。

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