2009年8月12日水曜日

男の顔


ピアニストの山下洋輔の話が忘れられない。若い頃に、誰だったかジャズ界の大御所のような先輩と対談したときのこと、彼の斬新な演奏スタイルを巡って激論になり、大御所にさんざん批判されたらしい。それに対して山下は、「だけど自分の信じる演奏をしないと、顔が歪んでしまう。」という意味の発言をした。しばらくして、大御所はポツリと「そうだね・・・。」と寂しそうに答えたという。学生の頃に聞いた話だが、以来ずっと心の隅にあり、いまも時々思い出している。

最近、矢沢永吉の対談を読んでて、久しぶりにその話を思い出したのである。実のところ、わたしにとってはそれほど興味を持てないアーチストで、どういう曲を歌っているかもほとんど知らない。ただ、ご本人ではなく、周囲のファンの人たちの印象から、妙な先入観を持っていた。ところが対談の中でご本人の素顔を見て、長年の先入観がとんでもなく間違っていたことに気がついた。還暦とは全く思えない若々しさと、自分を信じてひたむきに努力してきた男の顔がそこにあった。そして、そこで語られている言葉には、個性的で、自信に裏付けられた率直さがあった。「永ちゃん」と親しげに呼ぶ、ファンの人たちの気持ちが初めて理解できたのだった。


写真は本日の朝ご飯。昨晩と同じようにカンパーニュの上に、プランターからちぎってきた葉っぱ、そこにゆで卵を載せてオープンサンドにした。パンが美味いので、何を載せてもそれなりに食べられる。徐々に冷蔵庫から材料がなくなってきているので、メニューを組み立てるのが難しい。今夜はバケットを割って、チーズとトマトのカスクードでも作ってみようか。

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