革手袋

学生の頃から愛用していたスウェードの手袋が駄目になって、近所のユニクロに代わりを探しに行った。何種類かあった手袋をチェックしてみたが、どれも安いことには安いのだけど、それを人前に晒すには少々抵抗を感じる品質だった。もちろん実用性には問題ないのだろうが、革製品というものは趣味性が強いため、あまり割り切ったものを身につけていると都合の悪いこともある。特に手袋のように、人の目につきやすい小物は、それなりに気を遣った方がいい。

時々、カバンはとんでもない高級品を持っていながら、同時に手袋は貧相なものを身につけている女性がいるが、それはやっぱりバランスが悪いと思う。男性の場合でも、高価な時計と安物の靴という組み合わせにもよく出くわす。しょせんは趣味の問題とはいえ、どうせ同じお金を使うなら、その逆の方がよほど格好よく見えやしないだろうか。同じ消耗品でも、時計やカバンなんかより、大人にとっては手袋や靴といった革製品のほうがずっと大切だと思うのである。

ちょっと以前のものだが、ニューヨークのストリートギャングを描いた「ウォリアーズ」という映画があった。その中で地下鉄に乗ったチンピラの女の子が向かいに座っていた中産階級の女の子の靴を見て、思わず自分のみすぼらしい靴を引くという、とても切ないシーンがあった。この映画の中でも特に印象的なシーンなのだが、ただの靴が、いかに社会的な地位を象徴しているかが分かる部分だった。

結局わたしは、割り切った印象のあるユニクロの手袋は買わなかった。それを身につけるくらいなら、いっそ素手の方がましだろうと感じたからだ。ただ、それでは辛い日もあるので、気に入った手袋が見つかるまではアウトドア用の手袋でやり過ごそうと考えている。写真は、かれこれ20年近く使っている革手袋。何年かに一度は、専用シャンプーで洗い、ミンクオイルを補給して手入れしている。車やバイクの運転時にはめたり、日曜大工や料理の際にも使える優れものである。そうはいっても、特別におしゃれをする日には、それに見合った手袋が必要であるのは、むろん言うまでもない。

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