2009年12月9日水曜日

初冬の旅 2


この地方の居酒屋の名物は、なんと言っても小皿料理。一皿300円くらいからあり、山海の新鮮な素材を調理した、美味しく、しかも見た目にも楽しい料理が提供されている。酒も一杯100円ちょっとから、種類も色々よりどりみどり。ハシゴする場合は、最初からほどほどの注文で切り上げて、次の目当ての店に移動する。4,5軒も回れば腹一杯になり、酒の方もちょうどほろ酔い加減でいい気分。もっと飲もうと思えばいくらでも飲めるのだが、あまり酔っぱらっては勿体ない。呑兵衛の天国は、少しずつ、チビリチビリと楽しむのがちょうどいい。写真は、典型的な居酒屋のカウンターの様子。カウンターの上には、小皿料理がずらりと並び、そこから気に入ったものを取る。手でひょいと摘んで食べる場合もあり、そのために紙ナプキンが多用される。従って、床に散らばっている紙ナプキンの量で、その店の人気が推し量れる。写真の店の場合、開店してあまり時間が経っていなかったが、早くも床が汚れていた。地元でもかなりの人気店のようだ。



具体的にどういう料理があるかというと、たとえばマイタケ風のキノコを串にして揚げたものとか、イカの串焼きとか、フォアグラとか、日本人の舌に馴染みのある味のものが多く、しかも滞在中にメニューが一度も重なることがないくらい色々な種類があった。ちょっと高級な店では、カエルや鳩のソテーなんかが忘れられない。あまりにもいい匂いだったもので、写真を撮る前に齧り付いてしまい、見苦しくてせっかくの写真をお見せできないのが残念だ。


意外だったのは、昼間や夜の早い時間など、老若男女を問わず幅広い人たちが居酒屋に訪れるということ。乳母車を押して昼飯を食べにくる若い母親や、犬の散歩の途中でコーヒーだけを頼む老夫婦など、日本でいうファミレスやコーヒースタンドの役割も兼ねている。何かを飲み終わって、悠然と新聞を広げていてる老人に対しても、店の主人は嫌な表情ひとつ見せない。こういう店が、わたしの住む街にもあればと、ちょっとこの街がうらやましくなったのである。

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