2010年3月1日月曜日

電気ポット



このところ忙しいせいか、はたまた単にトシをとったせいなのか、今年に入って薬罐を空焚きするハプニングが立て続けに起きた。調理中なら問題はないが、他の用事をしながら、ふとお茶を飲みたくなって湯を沸かそうとしたときが危ない。先ほどの用事に戻って、湯が沸くまでの切りの良いところまでと思って集中しだすと、たちまち火に掛けた薬罐のことを忘れてしまう。今どきのガスコンロなら、すぐにセンサーが働いて自動消火するのだろうが、ウチのは丈夫だけが取り柄の旧式なので事故の原因には事欠かないのだ。

対策を話し合って出した結論は、これからも同種のハプニングは減ることはないだろうから、薬罐を止めて電気ポットにすべきだということ。電磁調理器に取り替えることも検討したが、電磁波の影響や、アンペア数の問題もあったので今回は見送りにして、取りあえずコストを掛けずに、最小限の変更に止めることにした。そこで学生の頃に使っていたようなアルミの簡単な電気ポットを探したが、そういうレトロなものは姿を消して久しく、その代わり妙な具合にカラフルなポットが幅をきかせていた。

そこで買い求めたのは、食堂にあるピッチャーのような形の、掃除がしやすく、ステンレス製の清潔感のあるポットだった。実用のものだから、遊びのない、出来るだけ合理的な形状のものが良かったのだ。実際の使い心地はどうかというと、湯を沸かすだけの単純な装置なので、本質的な機能という面では問題はない。ただ、ちょっと残念だったのは、全体として造りが甘く、少しちゃちな感じを受けることだ。だが、それも仕方のないことではある。実用品の世界では品質よりも価格が優先で、あげく何でもかんでも中国製の時代である。家電製品に、少々高くとも長もちする丈夫なものを望むのは、所詮は無いものねだりなのだろう。

結局のところ、せっかく買ったものだから口に出さないが、今までどおりの薬罐のほうが良かったと思っている。丈夫だし、単純だし、愛着もあった。今度の電気ポットだって、いずれ使っていれば慣れるだろうが、しかしその頃には壊れてしまいそうな気がしてならないのだ。そのときに備え、古い薬罐は大切に保管する必要がありそうだ。

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