
レストランに到着して、最初に通されたのは大きなソファが並び大きな暖炉のある部屋。ここで火に当たりながら食前酒を飲み、メニューやワインリストを眺めて過ごす。たっぷりと時間をかけて料理と酒を決め、それからようやく別室のテーブルに案内される。そこは部屋の中央、美しい海辺の風景がすべて望める窓際の席だった。

シェフは天才と呼ばれるだけあって、文句なしに料理は素晴らしい。ありふれた食材、平凡なメニューでもここまで洗練できるのか、という仕上がりである。メインディッシュが済むと、デザートのワゴンがやって来る。昼のコースのためか、種類や量は思ったより少なめ。それでも周囲の客が一斉にワゴンの中を覗き込む。客同士目が合うと自然と微笑み合い、互いの幸運を感謝した。

前菜はカボチャのスープ。いろいろと具が入って、複雑な風味が絶品。

メインは白身魚のポワレ。魚もそうだけど、付け合わせの芋が気に入った。小食にはぴったりの、お上品な量である。

ワゴンに乗ったデザート各種。見た目は地味だが、これもいける。食堂の客層は、見ての通りみな中高年、それも外国人が多い様子(自分たちもだけど)。


帰りの路線バスの車窓から見えた、魚や牡蛎の捕れる豊穣な海に、どこまでも広がる多様な野菜畑。毎日、目の前のこういう場所から食材を調達するので、何を食べたって美味しいのは当たり前なのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿