2010年12月19日日曜日

今年の旅 2

先に出不精の自炊派と書いたが、食い意地は強い方だ。しかし残念ながら食が細いので、とてもグルメなどとは称せない。たまの外食でも、コース料理は無理なので、アラカルトで2皿程度あればもう十分。そんな中途半端な食い意地に引っ張られて、遙か遠く僻地のレストランまでランチを食べに行った。通常ならば数ヶ月先まで予約で埋まっているという話だが、現地で悪天候が続いていたので運良く席が取れたという次第。むろん夜のメニューの方が豪勢だけど、全部は胃袋に収まらないので仕方なくランチにした。


レストランに到着して、最初に通されたのは大きなソファが並び大きな暖炉のある部屋。ここで火に当たりながら食前酒を飲み、メニューやワインリストを眺めて過ごす。たっぷりと時間をかけて料理と酒を決め、それからようやく別室のテーブルに案内される。そこは部屋の中央、美しい海辺の風景がすべて望める窓際の席だった。


シェフは天才と呼ばれるだけあって、文句なしに料理は素晴らしい。ありふれた食材、平凡なメニューでもここまで洗練できるのか、という仕上がりである。メインディッシュが済むと、デザートのワゴンがやって来る。昼のコースのためか、種類や量は思ったより少なめ。それでも周囲の客が一斉にワゴンの中を覗き込む。客同士目が合うと自然と微笑み合い、互いの幸運を感謝した。


前菜はカボチャのスープ。いろいろと具が入って、複雑な風味が絶品。


メインは白身魚のポワレ。魚もそうだけど、付け合わせの芋が気に入った。小食にはぴったりの、お上品な量である。


ワゴンに乗ったデザート各種。見た目は地味だが、これもいける。食堂の客層は、見ての通りみな中高年、それも外国人が多い様子(自分たちもだけど)。



帰りの路線バスの車窓から見えた、魚や牡蛎の捕れる豊穣な海に、どこまでも広がる多様な野菜畑。毎日、目の前のこういう場所から食材を調達するので、何を食べたって美味しいのは当たり前なのである。

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