停滞の時代に

大停滞」読了。タイトルから想像される通り、あまり愉快な本ではない。アメリカ経済は、この数十年、見かけよりはずっと低い成長しかしていない。その原因は、経済成長のもととなる生産性の向上が、技術革新の停滞により止まってしまっているからだ、という。確かにそうなのかもしれない。約一世紀あまり前、立て続けに出現した技術革新は、その前後で社会を劇的に変化させ、莫大な富を生み出し、そして中産階級と大衆社会を創出した。その大きな変化に比べると、今の暮らしぶりは子どもの頃と比べ、それほど進歩していないと感じる。むしろ、ひと昔、ふた昔前の暮らしのほうがずっと余裕があったくらいだ。

・・・「私たちは自分たちのことを金持ちだと勘違いし、たくさん金を借りても十分に返済できると思って莫大な借金をしたが、実際は自分で思っていたほど金持ちでなく、金融危機という形で自信過剰と自己満足のツケを払わされた。」
・・・「さしあたりは、私たちが過去に経験したことがないくらい、景気後退が長引くことを覚悟する必要がある。目下の景気後退を脱しても、まだ低成長期が続くかもしれない。」

本書でも述べられているように、先進国は経済成長のピークを越えて、すでに衰退の時間に入ってしまっている。日本で長引く不景気も、他の先進国を少し先取りをしていたに過ぎない。歴史を学んだならば、繁栄を続ける国家は存在しないことに気づくべきだ。むしろ繁栄が例外的であり、長い停滞がノーマルな国の姿である。そのように考えると、私たちは従来の価値観や人生設計をいかに変えるべきかを真剣に検討すべき時に来ているといえる。

そして昨日の大阪の選挙結果。おそらくこの変化の流れは他の地方に波及し、最終的には国のあり方を変える。これから確実に税収が減少する中で、社会保障を維持しようとするならば、当面あらゆる行政の無駄をなくすことは避けられない。そして、いずれは社会保障そのものもに手をつけざるを得ないことは、住民の誰もが分かっているはずだ。理解できなかったのは、不景気の影響を心配する必要のなかった、少数の恵まれた人たちくらいだろう。候補者の支持団体を見れば一目瞭然。選挙結果に対して批判もあるが、それでも多数の声なき意見は、案外と正しいものである。そして同様の流れは、アメリカでもヨーロッパでも、日本の後を追うように続くと思う。

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