若さについて

いつも心底から感心するのだけど、芸術家という人たちは、年をとられてもみなさん驚くほど若い。確かに体は年齢相応だが、お顔に艶があり、巧みな表情があり、頭の回転が速くしかも語彙が豊富だ。若く瑞々しい魂がしっかりと存在し、その空間に新鮮な雰囲気を振りまいている。別の言葉で表現すれば、人物に華やかな色気を感じるのである。肉体は若いが、魂は濁って堅く老化している人が多い中で、これはちょっと驚くべきことだ。

今日テレビで見た画家・堀文子も、その典型のような人物だった。なんといっても90を超えて、なお好奇心を枯らさない生き方に圧倒される。彼女は言う。旅をするのは自分を慣れさせないためだ。慣れるとものが見えなくなるからだ。もちろんその言葉には共感するが、もし自分が90歳になったとき、いやせめて60歳になったときに、自信を持って同じように言えるかというと、ちょっと無理かもね。「慣れる」ということは、いわば省エネ運転を可能にする、人間の知恵の産物だから。年をとってから獲得した「慣れ」を、わざわざ否定して生きるというのは、想像以上に馬力の要る大変なことだろう。

なぜ芸術家はそろいも揃ってみな若いのか、度々考えてきたが、結局のところ、堀の「群れない、慣れない、頼らない」という言葉に集約されていると思う。芸術家は、孤独な自己変革を強いられる人たちである。同じ繰り返しが許されないからこそ、いつまでも若々しい。単に手作業しているからとか、いつも何かを考えているからとかいう、そんな表面的なことじゃないんだ。理想を述べれば、長生きしなくても寿命を迎えるまでは若々しい存在でありたいと思う。しかし凡人にとっては、そもそもどうやってという方法論こそが一番の問題。正月に美術館行って以来ちょっとご無沙汰だったので、せめてこの週末は美術館に行ってみよう。作家たちの魂に触れてみようと思う。

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