帰省



正月を郷里で過ごした。例年は年末年始をずらして帰省していたが、さすがに今年から母が寂しがるだろうと、人並みに帰省ラッシュにもまれてきた。

孫の顔を見せに行くのだろう、子どもを抱きかかえ、両手に土産をぶら下げる若い夫婦や、いかにも単身赴任中といった風体の中年男、帰省か遊びかちょっと見た目には分からない若い男女など、空港の待合ロビーは普段とは異なる活気があった。夜遅い最終便にもかかわらず飛行機は予約で満席。機内は子ども達のはしゃぐ声、むずがって泣く赤ん坊の泣き声で、いつもと違いかなり賑やかだ。そうして郷里の空港に到着し出口に向かうと、周囲には彼らを迎える家族達の顔が並んでいた。悪くない、こういう温かさ。

実家では特に何をするわけでなく、とりとめなく話をして、近ごろめっきり増えた昔話の相手をし、しゃべり疲れたら茶を入れる、そして食事をする。人の顔を見れば「ちっとも食べなくなったね」、と食べ盛りの頃の様子を何度も聞かせ、今のわたしの飼いネコ並みの食欲を心配する。だからいつも普段の倍の努力で出された料理を平らげるのだが、そうすると消化不良であとが辛いのである。

帰りは早朝の始発便。玄関で、母はまだ何か話足りなさそうな顔をし、わたしはし忘れたことはなかっただろうかと考える。「心配は要らないからね」「うん、分かってますから」と、互いに短い言葉を交わして真っ暗な外に出た。そして数時間後、家に帰り着くと、留守番電話に無事を確認する母のメッセージが入っていた。

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