2012年8月14日火曜日
「スクリューフレーション・ショック」
去年も同じテーマを取り上げましたが、スクリューフレーションについてコンパクトに解説している本が出ていたので読んでみました。かいつまんで言うと、資本が世界中を自由に移動するようになって、先進国の賃金は上昇しなくなった。一方で発展途上国に爆発的な需要が生じ、食料や資源価格の価格の上昇が止まらない。その結果、従来中間層と呼ばれた人たちが減少して、国全体が貧しくなる。とりわけ、資源と食糧の自給率が、世界的にも非常に低い日本に、スクリューフレーションの影響が顕著になっていくだろうと・・・。今回の増税について、私は近年最低の政策ミスだと罵りましたが、その一番の理由に、この中間層の貧困化の問題がありました。決して大袈裟ではなく、私たちや国の運命を左右する重大な政治案件だったのに、経済のケの字も知らなさそうな大臣を据えて、国民の関心が他所にいっている間にしれっと法案を通してしまうのだから、私たちは本当に有能なリーダーを持ったものです。
このスクリューフレーションを防止する手段ですが、さしあたり決定打がないといいます。中国、インドなど途上国の賃金水準が、先進国に近づくまでは止まらないということです。果たして、いつ、どの辺りでそれが均衡するのか、興味津々です。ただ、経済的ショックを和らげる手段として、資源と食糧の自給率のアップが提言されてました。これだけならば意外に簡単かもしれません。要するに、国民ができるかぎり無駄のない、質素な生活をすればいいわけです。たとえば廃棄食料をなくすだけでも、とても効果がありそう。需要という分母が小さくなれば、自然と自給率は上がるはずですからね。
そう考えると、私たちの多くは無意識に賢い選択をしているのかもしれない。何しろここ数年、暮らしぶりの質素な人たちが増えてますから。よくクルマ離れが言われてますが、少々遠くても歩いたり、自転車に乗る人が目立ちます。古いモノを修理して使い続けることに、何ら抵抗のない人が増えてます。靴の修理専門店や服のリフォーム専門店もよく見かけるようになったし、輸入家具や食器のリサイクル店なんか、以前は想像もできませんでした。専門家の指摘を待つまでもなく、敏感に経済の変化を先取りして世間は動いているのです。むしろリーダー層の人たちの、とんでもない鈍感さや不勉強こそが、私たちの足を引っ張っているのじゃないでしょうか。
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