2012年10月17日水曜日

チープだけど美しい

チープなものというと、世間では、ちょっと評判の悪い、粗悪品の代名詞のような見方をされます。果たして、本当にそうなんだろうか。自分の感覚が変なのかもしれませんが、むしろ高級と見なされるものの方が、かえって貧相に見えて仕方ない。


たとえば、必要最小限の素材を加工した、道具の本質だけを表現したようなもの。たとえば針金ハンガーなんかがそうですが、これ以上削りようがないというフォルムに、みずみずしい緊張感と豊かなアイデアを感じます。確かに、金銭的には馬鹿馬鹿しいほどチープです。だからといって、使い捨てにされるほど無価値なものとは思えません。むしろ、貨幣価値を基準として、モノの扱いが変わる態度そのものに、どこか荒んで刹那的な心を感じます。


本来ならば捨てられることを予定している容器たちも、ラベルを剥がし、きれいに洗浄すると、思いがけなく美しい姿を現します。中身の方は、ぜんぜん大したことなくても、容器の方で凄く得したこともしばしば。そんなことが続くと、中身よりも逆に容器ばかりに目がいきます。まあ、これを本末転倒というのですけど、美しい道具は何であろうと、大切に使いたいものです。


写真の壺は、マスタードが入っていたのですが、現在は塩入れとして活躍。台所の隅っこでどっしりと、威風堂々の存在感を放ってます。長く使っていると、愛着が湧きます。

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