2013年7月22日月曜日

よい製品とは何か

景気が良くなっているようです。クルマを運転していても、最新型の高級輸入車が多く目に付くようになりました。百貨店では宝石や時計が飛ぶように売れているという。アベノミクスの恩恵がたとえ世間の一部であるにせよ、人々が安心しておかねを使うようになれば、今後、世相も自然と明るくなるのじゃないでしょうか。

今の消費トレンドを「三コウ消費」と呼ぶ向きもあるそうです。高品質で、「好き」と感じられ、明確な効果を得られるものであれば、たとえ高額であっても消費者に選ばれているという。要するに、いい品ならば高くっても積極的に買うようになったということですね。

しかし問題は、いい品とは何かということで、そこをちゃんと押さえてないと、売り手に乗せられただけの浮ついた消費ブームに終わります。
それで先日、「よい製品とは何か」という新刊本を読みました。
アメリカの大学で、「よい製品、悪い製品」というエンジニアの卵に向けた講義メモを土台にした本だということです。
ひとくちに「よい製品」といっても、明確に定義するのは難しい。それを長い実務経験で得た知見をもとに、解き明かしていこうというのが本書の内容です。

本書の最後に、よい製品か否かを判断するチェックリストが列挙されています。これらの項目を点数評価して、高い点数を得たものが「よい製品」であると考えてよいでしょう。客観的評価になじみやすいものもあれば、採点者の主観に左右される項目もあります。

パフォーマンスとコスト (適切な値段と価値)
人になじむか (身体や感覚にマッチするか)
クラフツマンシップ (よく考えられ、作り込まれているか)
感情に訴えるか (喜びや感動があること)
エレガンスと洗練 (美しいこと)
象徴性と文化的価値観 (属する文化や価値観を適切に反映するか)
地球への影響 (環境に悪影響を及ぼさないこと)

これは本来、製品を作る側のチェックリストですが、消費者としても大切な視点になります。そして、これら製品の持つ要素のなかで何を重視するのかということが、消費者側からの本書の読み方だとも思う。
どれもが製品の価値を決める要素として重要ですが、リストのすべてを満たす必要はなく、ひとつでも自分の個性的な物差しに合致すれば、それが自分にとっての「よい製品」です。
あまりにも商品の選択肢が多い時代、ある程度割り切らないと、何を選んでも不満が残りますからね。

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