2013年9月14日土曜日

読書の秋近し


漢字の書き取りをやっているうちに、語源を調べることが多くなりました。
むろん国語辞典では間に合わないので、漢和辞典で調べます。
使っているのは「新字源」という、その方面では定番の辞書なのですが、しかし腑に落ちない記述が多くてストレスが溜まる。
お茶を濁すというか、すっきりと論旨がつながりません。
それもそのはず、漢字研究の大本にあたる「説文解字」に資料的不備があって、解釈上の難点が指摘されているという。

昔から気になっていた本がありました。
白川静を読めと、誰かがしきりに耳元で囁き続けます。
漢字の書き取りが目的だったのに、なんでそんなマニアックなことをしなくてはならないのか。
わたしの理性が、冷静に反論します。

ならば最初に範囲を決めて、その中で楽しめばいいと考えて入手したのが白川静の「常用字解」。
中高生から使えるようにという配慮で、わかりやすく記述されているのが特徴ですが、内容的に落ちるものではなく、大人でも充分に読み応えがあります。
「新字源」の解説とは真っ向から対立する部分が多く、さり気ない記述にも熱い学者魂を感じる。

おかげで漢字の勉強をしている時間が楽しくてしようがありません。
抽象的な記号に過ぎなかった文字に、歴史や感情が吹き込まれ、紙の上の記号があたかも意志を獲得したように、ふっと立ち上がる瞬間がある。
ちょうど立体眼鏡で写真を覗き込んで、ハッとする感動です。
こうなるともう止まらない(笑。
次から次と、読むべき本のリストが長くなります。
もうすぐ読書の秋。

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