憂鬱な読書

東京劣化
地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減

これまでも度々取り上げた人口減少がテーマの本です。
人口減少に関心を持って以来、予測通りというかむしろそれ以上のテンポで問題は深刻化していることがわかります。
著者はそれぞれ違いますが、扱う対象が東京か地方かというだけで、予想される将来像に特別な違いはありません。

あと10年もすれば地方が荒廃し、後を追うように東京も劣化して、日本社会の貧困化が加速する。
これはもはや止めようのない現実であり、限られた政策手段で、何とかショックを和らげるのが今後の政治課題だ。
本書は大づかみに、そんな感じのトーンで綴られています。
まるで先の大戦における敗戦処理を語っているようで、楽しい話じゃないですね。

以前ならばオブラートに包んだ表現だったところが、それでは充分に理解されないためか、けっこう厳しい論調になっています。
なにしろ歳を取ると、どなたも年金と健康のことしか関心が向きませんし、難しいことはお上任せになってしまいますから。
だからこそ印象に残るような表現が必要なのでしょう。

私が危惧するのは、そんな高齢者が支配的になると、何とか社会を変えたいという機運さえ摘み取ってしまわないかということです。
たとえば東京の65歳以上の高齢者は、あと20年で50%以上増加する見込みです。
そうなったときに、果たして適切な世論が形成され、有効な政策が打てるのか、はなはだ怪しいというかとても無理じゃないでしょうか。

「東京劣化」の著者の10年前の本、「人口減少経済の新しい公式」も読み返しました。
読んだ当時、色々と参考になる記述が多く、マーカーとメモ書きでひどく汚れています。
マークした箇所だけ拾い読みすると、「雇用形態の多様化」「貯蓄から投資」とかその他いろいろ、当時の課題が現在の政策になっていることに気づかされます。
その中で、一つだけまだ政策になっていないものがありました。
老後の生活設計は「自己責任」で、という指摘です・・・。

さて、どうのこうのと言ったって、団塊の世代が退場し混乱が収束すれば、いくらなんでも100年も経てば普通の国に戻れるでしょ、と明るく思われるかもしれない。
その100年後の推計人口ですが、総人口約4300万人、65歳以上の高齢者人口割合は41%だそうです。
なんと人口が3分の1になって、逆に高齢者の割合は倍になり、社会の高齢化はより深刻化している。

量的変化は質的な変化を引き起こすといいます。
3分の1に縮小した将来の日本の国力、影響力は、それ以上に縮小すると考えるべきでしょう。
今の日本とは似ても似つかない、別物の日本になっているのかもしれません。
むろん一個人がそんな先まで心配しても仕方ないですが、そこまで考えるべきなのが政府なんですけどね。

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