「バブルへGO!!」

「バブルへGO!!」というコメディ映画を観ました。役者さん達が若いなあと思ったら、今から9年前の作品でした。
あらすじは、財政破綻寸前の現在の日本を救うため、洗濯機型のタイムマシンを使って過去に戻り、バブル崩壊の引き金となった大蔵省通達を阻止しようとする荒唐無稽なお話です。

バブル景気と言っても四半世紀以前のことなので、あの頃がどうだったかという記憶も薄れてきています。
映画で描かれた、当時の六本木界隈の様子などは、さほど遠くないところに住んでいたにもかかわらず、滅多に立ち寄らない所だったので懐かしさすらありません。
週刊誌やテレビでその象徴的な光景を、幾度か見たことがあるくらいです。

ただひとつだけ思い出したことは、映画でも印象的に描かれていたように、人々がじつに気前が良かったということです。
私の経験では、映画や美術館、コンサートのチケット、はてはディナーショーの招待券とかを友人知人から頻繁にもらっていました。
金は天下の回りものと言いますが、あの時代、本当におかねが景気よく回っていたのだという実感があります。

で、わたし自身がどうだったかというと、あれほど景気が良かったにもかかわらず、おかねとはさっぱり縁がなく、世間を羨ましいと感じつつも、暢気なのでさほどプレッシャーも感じず、淡々と慎ましい暮らしに甘んじておりました。
なにしろ世間全体が楽天的な風潮でしたから、自分もそのうちなんとかなるだろうと思っていたに違いありません。
まあそのお陰で、背伸びをして家を買うということもなく、比較的冷静にバブル崩壊を体験することになったわけです。


去年、時間潰しに当てずっぽうに買った本がとても面白かったです。
ニュータウンは黄昏れて」という本。
面白いというのは、ちょっと語弊がありますか。
小説とはいえ、あまりのリアリティ、まさに人ごととは思えない切実感があり、読みながら途中胸苦しさを覚えるほどの迫力がありました。

不運にもバブルの頂点で、ニュータウンに分譲マンションを購入した平凡な家族の、その後のドラマを描いています。
私の周辺でも、小説と似た話はいくらでもあり、それぞれ人に言えない苦労をしているのだろう思います。
たまたま自分はふたり暮らしの気楽さで持ち家願望が希薄でしたが、もし子どもがいればやはり周囲の人たちと同じような苦労を抱え込んでいたでしょう。
登場人物と同じ立場なら自分はどうするだろうかと、いろいろと真剣に考えさせられた、珍しく読む価値のある小説でした。

映画「バブルへGO!!」に話を戻すと、庶民が家を持てるよう地価を抑制するため、不動産融資の総量規制を行ったとありました。
当時の記憶では、この行政指導に対して珍しくマスコミの支持が強く、特に三重野日銀総裁をまるで正義の味方のように持ち上げていましたね。
逆にその直前には、消費税を天下の悪法呼ばわりし、あれほど導入に反対したにもかかわらず、です。
消費税は庶民を苦しめるから駄目、地価の上昇は庶民が家を持てなくなるから駄目と、「庶民」という空虚なキーワードで場当たり的な主張を続け、大衆迎合の典型のような論陣を張ったマスコミには、当時のスタンスについて現在どのような見解を有しているのか是非聞いてみたいものです。
わたしのマスコミに対する強い嫌悪感は、この当時から今に至るまでずっと続いています。

しかしだからといって、国に適切な政策が期待できたかというと、やはり無理だったのではないでしょうか。
バブルなんて、やはり後から振り返らないと分からないものでしょうからね。


今、世界中で焦臭いにおいが立ちこめています。
資源価格が暴落し、産油国をはじめとするこれまで資源で潤ってきた国々の財政が極度に悪化しています。
アメリカだって、表面上はなんとか取り繕ってますが、前回の金融危機の影響を克服したとは言えない状況。
中国は、バブル絶賛崩壊中といってもまだ初期の段階に過ぎず、これからが本番。
ヨーロッパだって、ドイツ経済が転ければ一蓮托生ですし、更に移民難民問題を廻って混乱が続くことでしょう。
こういう状況で、日本だけが無縁である道理もない。
歴史的な金融緩和によってパンパンに膨張した世界中の資産から、急速におかねが抜け始めると恐ろしい事態になります。
無理をして住宅ローンを組んだ人たちは大丈夫でしょうか。
せめてなんとか平穏な年でいられるよう、密かに祈るばかりです。

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