「おべんとうの時間」



「あなたのおクニは、どんなところ?」と尋ねられたとしよう。さて何と答えるか、ずっとそのことが引っかかっていた。そしてこの本、「おべんとうの時間」を読んで、そのヒントが見つかった。わたしたちはどのような土地に暮らし、どんな家族がいて、毎日お昼に何を食べているのか。これが説明できれば、外国人に自分のクニ、日本のことが伝わるのではないだろうか。

登場人物ひとりあたり4ページの写真と文章が、このクニ全体を表現する大きな絵の、そのモザイクのかけらのように配置されている。それぞれのお弁当に、その数だけの知恵と工夫があり、細やかな愛情がある。変化のある様々な土地と、多様な職業、そして家族の物語。これら雑多な要素が、ひとつの平凡な弁当に反映されていると思うと感動的ですらある。またそれ以上に、弁当の写真より、カメラの前に立つ日本人の姿が、なんともチャーミングで素晴らしかった。

本の中で一番気に入ったのは、鶴岡の女性の話。ある日のこと、自分の食べているお弁当が、先祖が代々守った土地の作物だということに気がつき、家に帰って仏壇に手を合わせたというくだり。暮らしている土地と、ご先祖さんと、食べ物とのつながりを意識して、自分がその中で生かされているという充足感だろうか。大都市では味わえない種類の、地味だが豊かな幸せを想像した。経済的合理性からはまるでナンセンスなんだろうけど、地産地消ってココロの問題として大事なんだよな。わたしも、せめてベランダのプランターに手を合わせなくては。

冒頭に貼り付けたのは、とても気に入っているガス会社のテレビCM。これ見るたびに、いつかは母に礼を言わなくてはと思っている。

コメント

  1. 鶴岡の女性のように、土地や祖先とのつながりを実感できるというのはかなり幸せなことなのではないだろうかと最近しみじみ思います。

    CMのお弁当、どれもおいしそうですね。作る方のお母さんも大変ながらも楽しそう。
    大事なだれかのためにお弁当を作ることができるというのも喜びのひとつなのでしょうね。

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  2. umeさん、どうもです。
    そうですね、個人がバラバラでなく、大きな環境に包まれているという感覚があれば、どれほど幸せなことでしょう。

    お弁当だけでなく、料理全般について当てはまりそうですが、自分のためだけにする料理って、さっぱりモチベーションが上がりませんね。実は今日の晩ご飯、面倒くさくて冷やご飯に、漬け物という手抜きをしてしまいました(笑。

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