2012年3月22日木曜日

できることは節電くらい


2月の電気使用量、235kWh。思えば昨冬まで、ふつうにエアコン暖房してました。しかし大地震を契機に2台のエアコンのプラグを抜いて、もうそれっきりの状態。エアコンは壁に張り付く粗大ゴミに。代わりにガスストーブ1台と分厚い靴下とセーターを着て、この寒い冬を乗り切りました。その結果、電気使用量は昨年同月比でほぼ半減。

ちょっと困ったのは、契約アンペアをぎりぎりに下げたので、時折いきなりブレーカーが落ちること。なのでアンペア数の大きな電気器具を使うときは、必ずほかの器具の使用状況を確認しなくてはなりません。特に電子レンジと、電熱器を同時に使うと危ない。貧乏学生の頃を思い出す。

そして今月は、139kWh。昨年同月比4割減。反原発で当選した区長さんから表彰してもらっても良いくらいの数字だけど、半月は家を不在にしていたのでズルの数字。それを割り引くと、ほぼ昨年と同じくらいのレベル。もうすぐ暖房のいらない季節、引き続き節電の工夫を重ねます。

それはそうと大阪は脱原発運動が盛んですが、果たして大丈夫なのでしょうか。電力不足で製造業を大阪から追い出してしまうと、それに伴い住民の大量転出が起き、ただでさえ税収不足なのに更に歳入が減り、そのまま財政破綻の引き金になるのでは?もちろん原発はない方がいいが、嫌でも上手に付き合わなくてはならない現実もあるわけで、ここは住民の徹底した節電が先じゃないかなあと思う次第です。

2012年3月20日火曜日

早春の旅 2

旅の師匠は、檀一雄。師匠の小説は読んだことないが、旅と食にまつわるエッセイは多感な少年期によく読んだ。現地に到着すると、手始めに市場に行って土地の食材を買い求め、それを宿で調理して晩飯にする。エッセイにはそんなふうなことが書いてあった。どこか中東のバザールで買い物する師匠の写真が、今も曖昧に記憶に残っている。


少食のくせに食い意地だけは一人前。初めての土地に行くと何はともあれ市場を探し、地元の人間で賑わっている食堂に行ってみる。師匠に倣い、食材を眺め、匂いを嗅いで、みんながどんな料理を食べているのか観察する。



それと、呑兵衛だから酒は欠かせない。品揃えの良さそうな酒屋に入り、地元で人気のある酒を教えてもらい、安いところを何本か買っておく。いわゆる地酒だから高くたって数百円、いろいろと飲みたいので残ってもいいやと割り切って求めるのだが、結局全部飲んでしまう呑兵衛の悲しさよ。



おっさんたちで賑わう食堂で頼んだ、モツとソーセージ、豆や野菜の炊いたもの。見たとおりご馳走でなく、いわゆるおばんざいですね。質素だけどボリューム満点。これに、先ほどのフツーの安酒を併せて晩飯にします。


今回泊まったのは、自由に使えるキッチンのついた宿。食事の時はみんなで大テーブルを囲み、それぞれ好き勝手にわいわいがやがやと過ごします。数部屋だけの宿なので、冷蔵庫の各棚が一部屋ごとに割り当てられる。わたしの棚は、もちろん酒瓶でいっぱい(笑。


2012年3月17日土曜日

早春の旅 1

ユーラシア大陸の西端の、かねてから憧れの土地を歩いた。そのむかし危険をものともせず未知の世界に旅立ち、大航海時代の先頭を切って莫大な富を築き、さらに時を経て静かに歴史の表舞台から退き、今では大国の狭間でひっそりと存在している小国。その首都の中心街には放棄された廃屋や空き家が多く目につき、ブランドショップが建ち並ぶような華やかな通りでさえゴミが散らかり、あちらこちらから鼻を突く異臭がする。


若者たちは移民や出稼ぎに行ったのだろうか、街には寂しげな老人の姿が目立ち、それは日本の地方都市によく似ている。この国は極めて高い失業率に苦しみ、本来なら稼ぎ手の男たちが、昼間から所在なげにベンチに座り込んでいるのが日常の風景だ。人々の暮らしぶりは質素、身なりはどこか貧相。どうやって生計を立てているのか心配になる。


街角の商店を覗くと、幼い頃に売られていたような素朴な商品が棚に並んでいる。生活必需品は国内で生産できているようだが、値の張る工業製品はほとんどすべて輸入物。派手なショッピングセンターには、私たちにも馴染みのある国際ブランド企業が軒を連ね、表通りには最新モデルの高級車が走り回っている。労働力以外売るものを持たない国がグローバリゼーションの波に洗われて、救いようのない貧富の格差が広がり、歴史ある古い町に居心地の悪い風景を晒していた。


厳しい表情の人が多い。老人たちの顔には深い皺が刻み込まれている。しかし、人柄は決して悪くない。私たちが道に迷っているのを察して、尋ねる前に方角を指し示してもらったことが幾度かあった。男たちは総じて寡黙だが、現地の言葉で挨拶すると、善良で率直な笑顔を返してくれる。最初の戸惑いとは裏腹に、わたしはこの国が好きになっていた。何しろ、少年の頃からの憧れの地なのだから。