2014年6月28日土曜日

旅行用の手帳


旅行の準備に合わせて、手帳を作りました。
予定はずっと先ですが、それまで旅先の資料を書き留めるために必要なものです。
行くべきところ、見るべきものなど、後で後悔しないように事前のリストを作ります。
そうしないと、何もせず暢気に過ごしてしまう癖があるからです。

それから旅券ナンバーやカード会社の緊急連絡先とか、いざという時のための緊急リストも書き込みます。
本来は役だってはならないリストですが、何年かに一度は実際に役立ってしまうから困ります(笑。
だから絶対に必要なものなのです。

残りの空白部分を日誌に割り当てます。
日誌の内容は詳細にせず、本当に必要な事項だけを簡潔に書きます。
見開き2ページで一日という感じなので、30ページもあれば充分。
つまり簡単なメモ帳みたいなものなので、手持ちで書き込めるくらいに表紙が丈夫で、しかもポケットに入る薄い手帳が理想的です。

気に入ったものが見つからず、何年か前に仕方なく自作したのが始まりでした。
自作といっても、市販のノートをカッターで縦方向に切り落とすだけの簡単な作業です。
これまで何度か試行錯誤を繰り返し、今回は3年ぶりの新作。
サイズは従前と同じですが、今回は罫線でなく方眼のノートです。
簡単な図やスケッチを描くのに便利じゃないでしょうか。


表紙は薄茶から黒に変わりました。なかなかシックです。
バーゲンだったので、まとめ買いして数年分を一気に作りました。

2014年6月8日日曜日

雨の合間に


なにかと気忙しい日々が続いています。
目の前の雑事を黙々とこなしているうちに、いつの間にか春は過ぎてしまい、憂鬱な季節を迎えていました。
いつだってそんな具合に時は過ぎますが、残り時間を意識するようになると、かすかな焦りすら憶えるようになりました。


やりたいことは、できるだけ早めにやっておくべきだ。
今という時間を大切にすべきだと、痛切に感じます。


バラ園に行こうよと、何度か誘われていたのを思い出し、シーズンも終わりになってやっと行く気になりました。
家からはちょっと遠い場所だったので、これまでなかなかその気になれなくて。
しかし、行けるうちに行っておかないと、次はないかもしれないと思い直したわけです。


天候が気懸りでしたが、現地に到着するとうまい具合に雨が上がってました。
さすがに最盛期は過ぎていますが、満開の時期よりも、却って風情を感じます。




2014年5月27日火曜日

「でんき家計簿」

過去10年にわたって、電気、ガス、水道等の光熱費の使用量、金額を表計算ソフトで記録しています。
以前は家計簿にまとめて記録していたのを、省エネを意識するために別立てにしたものです。
ダイエットの一手法として、毎日の体重を記録するだけでも効果が上がると言いますが、光熱費を記録するのも同様な効果があると思います。
ただ、ひどく地味な作業なので、誰にでもお勧めできるようなものではない。
 
東京電力の「でんき家計簿」という家庭向けの電気使用量照会サービスがあるのを知り、さっそく使ってみました。
電気使用量と料金が自動で記録され、利用者がそれをグラフで確認して節電に努めるという趣旨のサービスです。
これならば、電力会社が勝手に記録してくれるので、手軽さという点で優れています。
ちなみに「でんき家計簿」で見た、我が家の電気使用量と利用料金のグラフ。


昨年度との比較しかできないのが残念ですが、節電の努力がグラフになって現れるというのは嬉しいものです。
赤の折れ線は、同じ契約容量利用者の平均使用量ということで、なにげに競争心を煽る工夫もされています。
うちは20アンペアですが、今年の冬は寒くて頻繁にブレーカーを飛ばしました(笑。
そこでグラフを見ると、冬場はよそのお宅より、かなり多く電気を使っていることが分かります。
家の中では、かなり厚着をして頑張ったつもりですが、そんな程度ではまだまだ甘いということらしい。


料金の方は、この2ヶ月使用量は下がっているのに、金額には変化がありません。
じわじわと値上げの影響が出ていることが、グラフ上で一目瞭然です。
近々再値上げするという話なので、今後も電気代から目を離せません。

このサービス、いい試みだとは思いますが、1年分の記録しか参照できないという点が惜しい。
節電というのは、息の長い地道な努力なのだから、その成果を確認するには数年分の記録が必要になります。
そしてもうひとつ、電気ばかりが光熱じゃありません。
都市ガスはもちろん、上下水道だってエネルギーを使っているのだから、これらをトータルに把握できなくては省エネの意味に乏しい。
関連会社が共同して運用する、一括してエネルギーの利用状態を確認できるようなサービスがあると素晴らしいのですがね。

2014年5月21日水曜日

東経135度の街へ

前回明石の街を訪れたのは学生の頃。当地出身の女性に連れられて、名物のたこ焼きを食べに行きました。
たこ焼きといっても普段よく目にするあれでなく、出汁に浸して食べるふわふわとろとろの明石焼きというもの。
さほど遠くない場所で生まれ育ちながら、このようなたこ焼きがあったことすら知らず、初めての味にすっかり魅了されたものです。
また食べたいなと思いながらも、その後はずっと東京暮らしで再び出会う機会はありませんでした。
しかしようやく再訪するチャンスを得て、やっと思い出の明石焼きを堪能してきました。


15個も並んで、たったの600円。
当時とそんなに値段が変わらないような気がします。
その代わり、タコが若干小さくなった感じもしますが。
昼飯代わりに食べましたが、これだけでもうお腹が一杯でした。
他にも試したいメニューが並んでましたが、残念ながら今日はここまで。



明石といえば鯛や蛸をはじめとする海産物が名物。
新鮮な魚を求めて商店街を歩き回りました。
訪れたのは日曜でしたが、店先ではその日捕れた魚が文字通り飛び回ってました。
鮮魚店はそれほど多くないですが、どれも活きが良くて何を買うか迷ってしまいます。


ちょっと目を離すと脱走する蛸たち。
明石の蛸は立って歩くと言われますが、この日はちょっとお疲れのご様子でした。


記憶では、もっと活気あふれる街だったような気がしますが、ここも他の地方都市の例に漏れず、やはり静かに老いていく街という印象を持ちました。

2014年4月26日土曜日

ウィンドウズ オン マック

近時、コンピューターウィルスや偽サイトを利用し、重要な個人情報が抜き取られてる事故が頻発しているといいます。個人ばかりでなく法人にも被害が発生し、多額の金銭的損害も発生している模様。
最近も身内の人間が普段から利用している銀行のサイトにアクセスしたところ、何かいつもと様子が違っていたので入力する寸前で思いとどまって、危うく難を逃れたという出来事がありました。
日頃からそれなりの予防をしているつもりですが、何時自分が被害者にならないとも限らないので、セキュリティの見直しを真剣に考えています。

コンピューターウィルスの標的となっているのは主にWindowsだということなので、Windows以外のOSを搭載したパソコンに、実際的にはMacへの乗り換えを検討しています。
しかし、長年もっぱらWindowsを実務で使っていて、それを全部捨てて乗り換えるのは慣れるまで時間がかかるうえ、コスト的にも厳しい。
ならばまったくネットには繋がないWindowsとネットに繋げるMacをパソコン2台で使い分けるという方法も考えられるが、それでは机の上がますます狭くなる。
もちろんMacにWindowsを入れ、必要に応じてどちらかのOSを立ち上げて使うという方法(Boot Camp)もありますが、機材は1台で済む反面操作が煩わしくなります。
そうなると、特殊なソフトでMacとWindowsをひとつのデスクトップで併存させるという方法が残されるわけですが、果たしてストレスなくスムーズに動くのかという疑問が残ります。

そして待ちに待った連休、さっそく実験です。
手許にあるのは普段から妻が使っている、7年前のMacBook。今となっては貧弱な性能ですが、もっぱらインターネットを利用するだけなので問題はありません。
ただ、ソフトがそれなりにパワーを必要とするらしいので、できるだけリソースを食わないように、懐かしのWindows2000をインストールします。
そして表計算ソフトは、もはや誰も使っていないと思われる前世紀のExcel。シンプルで軽いので、いつかは役に立つだろうと保管してたもの。
この古いものの組み合わせで問題なく動けば、先の目論見は検討に値することになります。


で、インストール中のWindows2000。この画面を最後に見たのは何時のことだったでしょう。少なくとも10年は経ちますね。
それがMacのデスクトップで動いているのが不思議で仕方ありません。
当時はインストールするにもずいぶんと時間がかかったはずでしたが、パソコンの性能が向上したのであっという間に済んでしまいました。


そして立ち上がったWindowsのデスクトップ。何か作業する場合は、Windowsのデスクトップは表示させずソフトの画面のみを表示させるので、本当にMacとWindowsが融合したように見えるわけです。


懐かしのExcelを立ち上げた様子。Windowsのデスクトップがないので、Macとの垣根が消えてしまってます。
そして実際に作業をしても、私の用途では全然ストレスを感じません。
7年前の古いMacBookなので、完全な動作をほとんど期待をしていませんでしたが、その予想は見事に裏切られました。
もちろんマシンのパワーを食うような作業では、さすがにそうはいかないでしょうが、通常の事務処理ではまったく問題ありませんね。

2014年4月6日日曜日

「恋に落ちて」


昨年の秋、テレビを買い替えました。
デジタル放送に対応した32インチの標準的なものですが、それまではコンパクトなアナログテレビだったので少々不便していたのです。
今どき32インチ程度では冗談のように思えるでしょうが、長らく小さな画面に慣れた目にとっては、それはまさに革命的な出来事でした。
私はもっぱら映画を録画したものを楽しんでいるのですが、画面が一気に拡大し、解像度が格段に上がったお陰で、映画の隅々まで子細に観察できるようになったのです。
つまり、映画から受け取る情報量が飛躍的に増大したということ。

それまで何気なく見過ごしていた、登場人物の細かな表情の変化や映画の小道具のこだわりを、録画機を止めたりスロー再生することで、いろいろと再発見することができるようになりました。
マクロの目でしか見ていなかった映画が、ミクロの目で、、、ちょっと大袈裟ですが、主観的にはそれくらいの違いで古い映画を見直してます。


ロバート・デ・ニーロ主演の「恋に落ちて」という不倫恋愛映画を、久しぶりに見ました。
デ・ニーロの出演映画としては凡庸ですが、私はその普通さが嫌いではない。
現実離れした豪華絢爛なストーリーも良いけど、自分のしみったれた日常生活の延長にあるおとぎ話はそれなりの現実感が得られるからです。

子持ちの良き夫でありやり手の建築技師というのがデ・ニーロの役回りですが、映画の中で彼女との待ち合わせの時間を気にして腕時計を確認するというシーンがありました。
気になってその時計を静止画像で見てみたら、ガラスの表面に細かい傷がたくさん入った、普通の日本製のクオーツ時計でした。
まさに仕事と日々の生活に追われる労働者を象徴してます。
いいですよね、この演出の細やかさ。

もう一方のお相手、メリル・ストリープの時計は、はっきりとは言えないが、どうも母親の形見のように思える年代物の手巻きの時計。
映画の中では、暗示的に不幸な母親の存在が語られてました。
世間的には幸せそうに見えるが、実は孤独な女性だったのでしょう。

このように、アナログの小さなテレビでは決して得られない情報が、いろいろな角度から読み取れました。
その素人分析が当たっているかどうかは別として、少なくとも映画から得られる想像の幅は広がりますね。

最後に、映画館で見たときには確認のしようがなかったのですが、男女の出会いの場となった非常に美しい本屋が気になってました。
今回ビデオで改めて店名をチェックしてネットで調べてみると、実在の老舗書店だということが判明しました。
本屋マニアとしては、機会があれば是非訪ねてみたい場所なのであります。


2014年4月5日土曜日

桜の下で


いつものウォーキングコースが、桜のトンネルになってました。
桜なんて、生まれたときから嫌というほど見てるのに、おまけにそれほど好きな花でもないのに、やっぱり毎年この時期が待ち遠しい。


少しずつですが、桜に対する気持ちが変化してきてます。
若い頃は、なにか自分が祝福されているような感覚でした。
実に単純というか、天真爛漫なものです。

近ごろは、ちょっと違う。
生きていることを許されている、という厳粛な気持ちが心の片隅に生じている。
桜の花が咲くこの世界に、自分も受け容れてもらっているという感覚です。
別に悪いことして生きているわけじゃないですが。


それと、あと何回この桜が見られるだろうか、という意識も芽生えてきてます。
しかもこうやって、早足で桜のトンネルをくぐり抜けれるのは、もう数えられるほどしかないのかもと。
そう思うと、桜の下で酔っぱらっている場合じゃないですね。

2014年3月23日日曜日

きれいな字を残したい


万年筆、インクとくれば、次はやはり紙。
で、文房具屋にネットで評判のいいルーズリーフ紙を見に行ったのですが、確かにペンの滑りは良さそうですが、如何せん紙が強靱で重い。
紙が上等過ぎるということもありますが、それ以前にただでさえ嵩張ってしまいがちな私のノートには向いていない。
つまり、バインダーにあれこれと関連資料を挟み込むので、嫌でもノートが重く膨れあがってしまう。
自分の用途に限るならば、ルーズリーフ紙はできるだけ薄く軽くでないと困るわけです。

せっかく出向いたのにただ手ぶらで帰るには悔しく、じゃあ増税前だからということで、定番の「ツバメノート」を数冊買い求めました。
仕事用にはルーズリーフ一択なので、これは読書記録用にしましょうか。
「ツバメノート」は、もちろん以前から目にしていましたが、いざ買うとなるとコクヨや生協ノート、この20年ほどはMUJIばかりでさっぱり縁がありませんでした。
ボールペン派には、さほど上等な紙である必要がなかったということです。

で、いろいろとノートを漁っていて、ふと目についたのが写真のお習字ノート。
ペン、インク、紙とくれば、最後に残るは自分の字。
ある調査では、若い人より年配の人の方が、字にコンプレックスを持っているという結果が出ていました。
必ずしも年配者が字が下手で、若い人が上手という訳じゃないのがミソ。
私の経験から推測すると、むしろ周囲に上手な人が多かったからこそ、下手くそが悩んだというのが実情でしょう。
私もいい歳をして、こういうのをレジに出すのは極めて恥ずかしかったですが、一時の恥なら喜んで忍ぼうと・・・。

うら若き泌尿器科の女医さんの打ち明け話ですが、ある老人が思い詰めた表情でやって来て、手術をして欲しいと言われたそうです。
常識的にはもはやその必要などないはずですが、本人曰く「きれいな体で死にたい」と。
まあ、誰にでもコダワリはあります。しかし自分なら、そのお医者さんの顔を見るなり何も言わずに帰ってしまいますがね。

むろん私の場合そこまで思い詰めてはいませんが、希望を言うと「きれいな文字を残して死にたい」。
さすがに草書は無理でも、楷書なら何とかなるのではないでしょうか。
何であれ、新しいことを始めるのに、遅すぎるということはないですよね。



ミシェル・ド・モンテーニュは悪筆過ぎて、自分の書いた字を自分でも読み返せなかったといいます。それにも負けず、よくぞあれだけの著作を残せたものです。
文字の美しさとその内容は別物ですが、しかし文字だってある種の画像情報である以上、同じことを述べても美しい方が、より相手の心に届きやすいのではないかと思います。
自分くらいの年齢になると、そんな切実な文章を書く機会はまず訪れませんが。

2014年3月21日金曜日

ハイテクインク 古き皮袋に新しき酒


普段に使うノートは、特売で買いだめしているA4のルーズリーフです。
罫線を気にせず、ざっくりと大らかに使うので、質より量を重視するという考えからです。
マーカーを多用するので、従来は滑りのいいボールペンを使い、中字の明瞭な字を書くようにしていました。
ですから、あまり紙質を問題にする必要がありません。紙でさえあれば何だっていいのです。

ところが万年筆に切り替えたところ、細かい不都合が生じました。
ひとつは、ノートの紙質があまり万年筆に向いていないということです。
特に、職人さん達が手作業で作った万年筆(愛称「おじいちゃん達のペン」)で書くと、字が滲むうえに裏写りします。これには困った。

もうひとつは、水性ラインマーカーが使えないということ。
取り敢えずダーマトグラフや色鉛筆で代用してますが、やはりラインマーカーの方が絶対に使いやすい。
さてどうしたものか。

字の滲みや裏写りは、上等の紙にすれば解決できるはずですが、その分だけ紙が厚く重くなります。そして無駄に高価。
無造作に書き散らかすことに意味があるノートなので、いくら書き心地がいいといっても用途が違います。
トイレ用にやたらに柔らかい紙がありますが、わたしには却って使い心地が悪い。何でも柔らかけりゃいいというものじゃない。それと同じ。

何かいい方法はないかと、その手のブログを徘徊していると、ちゃんと書かれてありました。
滲まず裏写りしにくいインクがある。しかも太字の万年筆に使うと、細かい文字が書けるようになる、云々。
なるほど紙じゃなくて、インクを替えれば解決というわけです。

で、善は急げとばかりに買い求めてきたセーラーの青インク
見かけは野暮ったいが、超微粒子顔料入りのハイテクインクです。
さっそく、「おじいちゃん達のペン」に入れました。
確かに、字が滲まなくなりました。裏写りもしてません。
さすが顔料インク、水性マーカーを引いても字が流れない。書いてすぐは無理だけど、乾くとOK。
細々した諸問題、これですべて解決です。

次に中細字のペリカンとラミーに入れると、なんと細字が書けるようになりました。
インクフローがよくなった分、字を書くのに筆圧をかけないからでしょうね。
軽く書けるから、字が細くなると言う理屈かも。

更に良かったのがインクの色。
それは、むかし気に入っていたモンブランのブルーブラック・インクと同じだったからです。
ペリカンのロイヤル・ブルーでは、理想より明るすぎる気がしていました。

もっとも価格は、今までのペリカンインクの倍(国産同等品だともっと)しますが、他に代わるものがないから納得です。
ちょっと気難しくも味わいのある「おじいちゃん達のペン」が、これからずっと気持ちよく使えるならば言うことがありません。


それにしても、容器やパッケージデザインを、もう少し垢抜けたものにできなかったのかな。
というのも、いろいろと調べて分かったのですが、万年筆は今や実用品から見栄や遊びの道具になっています。
外国製の高級万年筆などは、見栄えの良さに付加価値をつけて、時計や宝飾品と同じステータスシンボルの扱いです。
そのこと自体は実に馬鹿馬鹿しいことですが、むしろそうであるなら比類なきこのハイテクインクだって、日本の最高級品として世界中に高く売り込めばいい。
控えめは美しいことだが、せっかくのアイデアと努力は、相応の金銭的評価として報われるべきじゃないだろうか、と思うわけです。
ただし国内向けはこれまで通りでお願いしたいが。

2014年3月20日木曜日

「直して使う」


古本屋で雑誌のバックナンバーを探していたら、ちょっと気になる特集をしたものが見つかりました。
直して使う」、、、わたしのための特集か。

モノ選びをするとき、デザインや機能はもちろんですが、同時に自分に修理可能かどうかを考えます。
簡単に修理できれば、長く使えることは当然。
そんなことより、わたしには「直す楽しみ」があるという側面こそが重要です。

買うとは、突き詰めればモノと金銭の等価交換という、お金さえあれば誰にでもできる退屈な行為に過ぎません。
他方、何かを「直す」ためにはモノや人と対話しなくてはならない。
ここでは金銭ではなく、対話者の個性が決定的に重要であって、その行為は多様性に富んでいます。

直すために、様々な職人さんと会話しました。
直すために、方々の修理屋や怪しげなパーツ屋を訪ねました。
何でこんな詰まらないことに労力を使うのだろうと思うことは度々なのに、それでもやっぱり止められない。
「買う」という退屈な行為に比べて、「直す」とはなんと刺激的な体験なのか。
わたしにとっては、お金を出すことでは決して得られない、日常的な楽しみのひとつなのです。



先ほどの雑誌には堀江敏幸さんの直して使ういき方が綴られていました。もともと小説を通じてのファンでしたが、実生活上の価値観にも共感できます。
自宅の机には、わたしが数年前まで使っていたのと同じパソコンが置かれています。文章を書くにはこれで十分だということで。
リビングには年代物の机や椅子が美しく配置され、外界とは別のゆったりと落ち着いた時間の流れを感じさせます。
ちょうど小説を読んで受けるのと同質の空気です。

同じテーマで、串田孫一も掲載されてました。
曰く、「品物をぞんざいに扱い、こわれたらこわれたでぽいと捨ててしまう人は嫌いである。そういう人は人間をも自分をも大切に扱えない人のように思えるからだ。」
学校で道徳教育を重視するという話がありますが、わたしは抽象的な訓話より、家庭科教育で修理という実践を学ばせる方がよほど効果的だと思ってます。
浪費を戒め、人や物を大切にするという意味で。もちろん産業界は猛反対するでしょうがね。


トップの写真は、木っ端みじんになってしまったバターケース。
修理するために組み立て直したのですが、破片が飛んで完全には再現できず、金か銀で繋ごうかどうしようかと、ずっと迷っています。
直すまでの、この中途半端な時間もまた楽しい。

2014年3月18日火曜日

節電、原発、春一番


例年3月にもなるとエアコンはほとんど使わなくなるのですが、寒さが続いた今年はさすがに毎日のように運転しました。
その結果、今月の電気使用量193Kwh。昨年比でなんと50%も使用量が増えていて、その数字に我が目を疑いました。
日頃から節電節電と喧しく唱えるくせに、少しでも気が緩むとこの有り様です。

原発が必要にならないように、個人として出来る限り電気は使わず、不足分は都市ガスと工夫で乗り切るようにしています。
しかし、電気ばかりかガスも値上がりし、今年の我が家の光熱費は節エネの努力をあざ笑うかのように増加してます。
更に、今後もしロシアへの本格的な経済制裁が実施されると、天然ガスの需給がタイトになって値上げに拍車がかかるはず。
消費税まで上乗せされると、さて一体いくらかかるのか。

政治的にちょっと不謹慎な物言いになりますが、私は原発に反対でありません。
チェルノブイリ事故以降、むしろ原発を都心に誘致すべきだと考えているくらいです。
お台場のあたりに、東京の電力を賄うための原子炉建屋がずらりと並ぶ風景はさぞ壮観でしょう。
電力だって地産地消、送電ロスが少なく経済効率がいい。それに何より国民の防災や安全意識が飛躍的に高まります。東京一極集中がなくなり、地価も下がる。ただひとつを除いて、良いこと尽くめ(笑。
もしもそれが嫌なら、電気の大量消費を止めるだけのこと。住民が一丸となって節電に徹すれば、日本の電力問題は半分以上解決したも同然でしょう?

冒頭の写真は、昨年旅先の車中で目にした原子力発電所。日本と違い向こうでは、内陸の川沿いにもたくさんの原発が存在します。
地震が起きないということを前提にしているようですが、慢心こそが重大事故を引き起こします。いつだってそうなのですから。

ようやく春一番がやってきました。週末はエアコンの清掃をするつもりです。